諸外国の軽減税率

全体的に消費税率が高い欧州では軽減税率を適用している国が数多く存在しています。例えば、ドイツ(標準税率19%)では食糧品・飲料水・新聞・書籍・輸送機関・宿泊機関と言った生活必需品に対して7%の軽減税率を採用しています。

また、数段階の軽減税率を設けている国も少なくなく、フランス(標準税率20%)の場合、新聞・医薬品が2%、書籍・食糧品が5%、輸送機関・宿泊機関・外食が10%の異なる軽減税率を適用しています。一方、イギリス(標準税率20%)は(日本・ドイツ・フランスと決定的に異なり)食糧品・飲料水・新聞・書籍・輸送機関・医薬品・住宅等には一切消費税が課税されない仕組みになっています。

意外なモノが軽減対象になる国

軽減税率は国によって大きくシステムが違い、色々変わった作りになっている様です。例えば、イタリアの場合、肉・魚が10%ですが、野菜・穀物・乳製品は4%です。フランスの場合、マーガリンが19.6%に対して、バターが5.5%です。イギリスでは、菓子類は嗜好品として標準税率を適用していますが、ビスケット・ケーキに限っては食糧品と認められて消費税自体が発生しない様です。

また、アメリカでは新学期の時期だけ衣料品に消費税が掛からない様です。そして、数量に応じて軽減税率が決まる例もあって、1つでは標準税率のモノを6つ同時に買ったら軽減税率になると言う常識ではあり得ない様なシステムを取っている国も存在しています。日本で軽減税率を巡る論議が難航しているのは、この様な理由があるからです。

基本税率が違う点に注意しましょう

諸外国では軽減税率が設けられていると言っても基本となる標準税率が高い点に注意しましょう。消費税率10%以下の国では(全額非課税になる品目がある国を除き)軽減税率を設けている国はスイスだけです。軽減税率を持つ国の場合、その多くが15%~20%の標準税率を設けていて、軽減税率が適用されている品物であっても10%以上になっている例が結構あります。よく欧州の社会民主主義国に憧れている人がいますが、皆様の想像と異なり、消費税率20%以上の国、核兵器を保有している国や徴兵制を実施している国も決して少なくありません。

また、社会保障に回る割合が異なる点も注意が必要です。安倍総理は「どうやら社会保障にあまり税金を回したくないのでは」と言われますが、イギリスを除く欧州では消費税を社会保障に回す割合が高くなっています。

photo:taxes / 401(K) 2013