9月26日、アンゲラ・メルケル首相が「ベイルアウト(公的支援)の観測には根拠がない」として、正式に国家による救済を否定したことから、ドイツ銀行の株価は12ドルまで(約1208円/5.8%減)一気に下落した。

しかしドイツ銀行は落胆の素振りなど微塵も見せず、「ベイルアウトは期待していない。自ら窮地を切り抜ける」と、強気なコメントを発表している。

米司法省との巨額の和解金が最後の一撃?全面的に争う構え

以前から水面下で不穏な動きが続いていた欧州の大手銀行周辺。今年4月にイングランド銀行(BoE)が巨額の不良債権問題をかかえるイタリアのモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行に警告を発したのを機に、「欧州銀行危機」への懸念が急騰することとなった。

世間を騒がせているドイツ銀行最大の危機は、2008年の経済危機以降に複数の不安要因が積み重なった結果だが、中でも2005年から2007年にわたり違法に販売した不動産担保証券問題に関し、米司法省との和解で生じた140億ドル(約1兆4100億円)の罰金が痛恨の一撃となっている。

ドイツ銀行はこの要求額が「当時同様の違法行為を行っていたライバル銀行に課せられた罰金、あるいは和解金より多い」と不平を唱え、米司法省を相手に全面的な戦闘態勢にある。

これまでは各国の銀行が危機におちいった際、政府が資金を注入して救済するベイルアウト制度が用いられていたが、今年1月以降EU圏ではベイルイン制度が導入されている。

ベイルインでは国ではなく、銀行の顧客の預金で銀行の窮地を救うというシステムがとられる。つまり自分の預金を預けている銀行が危機に訪れた場合、負債返済に預金を使われてしまうということになる。

マイナス金利などの影響で減収傾向にある銀行に対し、投資家の不安感が強まるのも無理はない。

米信用格付け会社、ムーディーズは今年に入り、ドイツ銀行の長期預金格付けをA2からA3に、無担保優先債をからBaa1からBaa2に格下げしている。

政府の救済という逃げ道を遮断されたドイツ銀行にとって、勝敗の見こみはさておき、全力をあげて米司法省と戦うことのほか残された手段はないのだろう。(ZUU online 編集部)

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