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(写真=PIXTA)

夏の間の厳しかった日差しがようやく収まり、朝夕もめっきりと過ごしやすくなってきた。気持ちのよい秋晴れの日が増えてきたので、まさに「スポーツの秋」本番といったところだ。特に家事を切り盛りする主婦にとっては、運動会で汚れた衣服をまとめて洗濯機をフル回転させる日が増えていることだろう。

洗濯機は洗浄や乾燥方法の違いによって「ドラム式」と「縦型」に大きく分けられる。1990年以降の洗濯機市場は2002年まで減少したのち、その後増加して450万台前後で推移している。また洗濯機の種類別に見るちドラム式の割合が徐々に減少する一方で縦型が圧倒的な人気を誇っている。

そこで今回は、ドラム式と縦型について双方の良い点と悪い点を比べながら探ってみる。

価格:縦型にくらべて高い

洗濯機を購入するときには、なんといっても価格が重要なポイントになる。昨今の節約指向の高まりも関係しているが、洋服のように簡単に買い換えられるものではないだけに、消費者の目がシビアになるのもうなずけるというものだ。

家庭を持つ女性ならば当然知っていると思うが、ドラム式は縦型に比べて価格が非常に高い。価格比較サイトを見ても、同程度の機能ではドラム式のほうが高い。

かつてのような好景気の時代ならば「高機能・高価格」でも消費者は好んで買ってくれたが、最近ではメーカーによって機能の差がなく、どれを選んでもできることはそれほど変わるわけではない。「機能の差がなければ少しでも安いモノを選ぶ」という考えになるのも当然だ。

洗浄力:ドラム式は「泥汚れ」に弱く、生地が傷みやすい?

洗濯機である以上、汚れがきっちりと落ちるかどうかが最大のポイントとなるが、この点に関してもドラム式は分が悪いようだ。その理由は、それぞれの「洗濯の仕組み」に起因している。

・縦型:汚れがよく落ちる「かくはん洗い」
縦型洗濯機は、洗濯槽に溜めた水を回転させる「かくはん洗い」という方式になっている。大量の水を溜めておき、その中で水流を使ってもみ洗いをするので、洗濯物同士がこすれあって汚れがよく落ちる。水道代が余計にかかってしまうという点ではデメリットだが、何よりもしっかり汚れを落とせるという点ではありがたい。

・ドラム式:衣類を動かす「たたき洗い」
その一方で、ドラム式は「たたき洗い」という方式だ。洗濯槽の下に水を溜めておき、ドラムを回転させることで衣服をたたくようにして洗う。縦型にくらべて水が少なくて済むのはメリットといえるが、衣類が水に浸からないため汚れが落ちにくく、特に泥で汚れた服は後から手洗いするという羽目になる。これはとても面倒な作業になるし、二度手間になるので避けたい人も多いだろう。

もちろんドラム式のほうがよく落ちるという実感を持っている人もいるだろうが、縦型が支持される大きな理由に、汚れ落ちがあることは間違いないようだ。

その他:「メンテ」、「静かさ」でもドラム式は負けている?

「価格」「洗浄力」の2大ポイントの次に重要なのは、手入れの簡単さや音が静かかどうかといったことだろう。

・ドラム式は手入れが面倒
ドラム式洗濯機では、乾燥機能を使っていればフィルターのホコリ掃除をしなければならない。しかもそれを毎回やらなければなならないのは結構面倒だ。共働きの家庭はもちろん、洗濯を受け持つことが多いのは女性なので、洗濯機からフィルターを外して掃除するのは決して得意とはいえないだろう。

・振動が気になるドラム式
ドラム式は、洗濯機内部のドラムが縦方向に回転するため、縦型にくらべるとどうしても振動が大きくなることは避けられない。一軒家に住んでいる家庭ならまだいいが、集合住宅に住んでいるのなら、下の階への迷惑も気になるところだ。ナイトモードという機能を使ったり、洗濯物の量が少なかったりすれば若干静かになるが、機械の構造上の問題なので完全な解決にはならないだろう。

メリットとデメリットを知った上で選ぼう

これまで説明してきたように、ドラム式は縦型に比べて少々デメリットが大きいようだ。

しかしながら、縦型についても全くデメリットがないわけではない。例えば、皮脂汚れについていえばドラム式のほうがよく落ちるし、乾燥機能にかんしては縦型は「おまけ程度」といった感じで圧倒的にドラム式のほうが乾きやすい。

洗濯するにあたって重視するポイントによって、どちらの方式の洗濯機を選ぶかが決まるということだ。

それぞれの洗濯機と使用目的を十分に考慮に入れた上でどちらを買うかを決めるといいだろう。賢い消費者となる秘訣といえるのではないだろうか。(五十路満、ライター)