コロラド州、ワシントン州、オレゴン州、アラスカ州、コロンビア州で合法化されたのを皮切りに、瞬く間に米全土に拡大された大麻の合法化。

これまでに米51州中、過半数の州で娯楽、あるいは一部の医療用大麻の使用が認められているが、様々な理由で賛否両論が飛び交っている。しかし合法化による「大麻市場」からは多大なる経済効果が期待されており、国民の意識がますます合法化に傾いている風潮は否めない。

カジア氏「あらゆる大麻関連事業が利益を創出する」

現在米大統領選挙と同じぐらい米国で注目を浴びているのは、カリフォルニア州における娯楽目的での合法化だろう。大統領選と同日の11月8日、娯楽用大麻合法化の是非を問う市民投票が開催される。投票自体に絶対的な法的効力はないものの、市民の声が導入・禁止に大きく影響することは確実だ。

米調査シンクタンク、ピュー研究所(PwC)のサーベイ結果では、娯楽用大麻合法化に賛成している国民は57%と過半数を上回っている。2015年から4ポイント、2006年から25ポイント増という過去データと比較すると、国民の大麻使用に対する意識が著しく変化していることがわかる。またギャラップ国際世論調査が今年10月に発表した調査結果でも、支持派が60%に達している。

移行の背景には「大麻を合法的に利用したい」という国民が増えているというよりも、「大麻合法化による経済促進」を狙う意図が大きいようだ。

米金融コンサルタント会社、ニュー・フォロンティア・データの産業分析部門でエクゼクティブ・ヴァイス・プレジデントを務めるジョン・カジア氏も、「大麻関連事業はどのような分野や規模であったとしても、巨額の利益をもたらす」と断言しており、2020年までに合法大麻市場が80億ドル(約8375億2000万円)以上に成長すると見こんでいる。

カリフォルニアで娯楽用大麻が認められた場合、成人は最高6株の大麻を自家栽培できるようになる。現在闇市場で出回っている大麻の多くは、人体や地球に有害な化学肥料などを用いて栽培されているものが多いという。そのため合法化されれば経済促進に加え、環境にも人間にも優しい大麻を自ら栽培できるという利点もある。

法外な値段で大麻を売りさばくという事業が成り立たなくなる闇業者にとっては、当然ながら勢いを増す合法化の動きは歓迎されていない。「違法者に巨大市場を独占させるぐらいであれば、法の力で国の経済発展につなげる」という発想が、いかにも米国的な印象を受ける。

闇業者の懸念もどこ吹く風。ほかにもアリゾナ州、マサチューセッツ州、ネバダ州、メイン州で、大麻合法化に関する市民投票実施が検討されている。欧州ではオランダ、ベルギー、スペイン、チェコなど、すでに大麻使用が非犯罪化されている国が目立つ。アジアにもこうした流れが押しよせる日が、いつか訪れるのだろうか。(ZUU online 編集部)