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リタイア後に、老後資金のほかに資産形成した余裕資産の運用において、NISAを活用する方法についてご紹介します。定期預金や国債での運用では、インフレによって、実質的な目減りを生じます。NISAの非課税メリットをいかしながら、インフレを上回る運用が期待できるバランス型投資信託や外国債権型投資信託への投資に着目してみます。また、NISAは、相続税対策としても活用できます。


余裕資産の運用としてNISAの活用

形成した資産は次の世代に少しでも多く残したいものです。リタイア後の余裕資産の運用に、NISAを活用を検討してみましょう。2014年1月からスタートしたNISAは、20歳以上を対象とし、1人1年間100万円までの投資に対する、譲渡益や分配金、配当に対する税金が5年間非課税となる制度です。夫婦2人がそれぞれ、NISA口座を開設すれば、年間200万円の非課税枠になります。上場株式と公募株式投信が対象であり、NISA口座での新規の購入が前提となります。特定口座や一般口座とは損益通算されず、売却した分の投資枠は再利用できませんので、安定運用目的としての利用が適しています。


バランス型投資信託や外貨債券型投資信託でインフレ対策

すぐに使用する目的のない余裕資金がある場合には、NISAを利用してインフレ対策を行ないましょう。インフレによる資産の実質的な目減りを防ぐためには、インフレ率を上回る利回りを見込める商品での運用が不可欠です。リタイア世代では、ハイリスク・ハイリターンの金融商品に手を出すことは大きく資産を失った場合に取り戻すのが難しくお勧めできません。株式はインフレ対抗力があるといわれていますが、個別銘柄での購入は値動きが大きく、リスクも伴いますし、NISA口座では、長期保有できる商品が向いています。

NISAを利用してのインフレ対策としては、バランス型投資信託で株式が組み込まれているタイプや、外貨債券型投資信託が向いています。複数の金融商品を組み合わせた場合、NISAでは非課税枠の再利用ができないため、リバランスが行ないづらいので、バランス型投資信託の方が向いています。ただし、バランス型は手数料が比較的高額ですので、注意が必要です。外貨債券投資信託の為替ヘッジなしのタイプは、為替変動によっても基準価額が変動するため、値動きは大きくなりますが、円の価値の下落に備えることができます。ミドルリスク・ミドルリターンで、インフレ対策を行ないましょう。

毎月分配型で再投資を行なうと、非課税枠を消化していってしまいます。分配金を出さない資産成長型を選ぶことで、複利効果も期待できます。5年経過後に持ち続けていた場合には、ロールオーバーといわれるその年の新たな非課税枠への口座移管を行なって、NISA口座で、再び持ち続けることも可能です。ただし、時価が100万円を超えない部分のみが対象となります。


生前贈与として、NISAを活用

相続税の基礎控除が2015年1月から下げられることで、今後、相続税の対象者は増えます。NISAは、相続税対策としても活用できます。生前贈与は年間110万円まで基礎控除として、贈与税が非課税となります。子や孫が20歳以上であれば資金を贈与し、子や孫名義でNISA口座を開設し、100万円までを非課税で運用させることができます。相続税対策を行なえるとともに、子や孫の資産形成へとつながる方法です。

NISAを利用した相続税対策では、バランス型投資信託の資産成長型で、安定運用で複利効果を狙うのがお勧めです。成長が期待できる分野への投資を行ないましょう。資金にゆとりのあるリタイア世代では、NISAの非課税メリットをインフレ対策や相続税対策に利用していきましょう。資産運用を有利に行なうことで、次の世代により多くの資産を残せるようになります。

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