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iPadの不振

7月22日に発表された米アップルの2014会計年度第3四半期決算では、iPhoneとMacが好調で、iPhoneの販売台数が前年同期比13%増となり、Macは前年同期比18%となりました。一方、iPadは前年同期比8%減で、市場予想だった1400万台を下回りました。市場予想を下回ったのは、これで2四半期連続となります。iPadは2010年に登場して、世界中にタブレット型端末の需要を喚起しましたが、2012年からは販売が鈍化しています。今回iPadの販売が不振だった背景には、米グーグルや米アマゾンなどの参入によるタブレットの低価格競争があると見られています。

また、消費者のタブレット新規購入や買い換え需要自体が減少しているとの指摘も有ります。アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)も、iPadがかなり二極化しており、中東や中国などの新興市場では伸びているが、米国などの先進国では振るわなくなっていることを認めています。

また、米調査会社IDCの2014年のタブレット端末需要の伸びに関する予測は12.1%で前年の51.8%から大きく鈍化するとしています。さらにアップル自身が、iPadの競合製品を出そうとしています。それはこの秋に発売されると予想されている5.5インチ画面のiPhoneです。このiPhoneが7.8インチ画面のiPad miniと競合する可能性があると考えられています。


iPadのビジネス需要を掘り起こす

7月15日、アップルとIBMは、企業向けのモバイル関連ビジネスについて独占的なパートナーシップを締結したことを発表しました。提携は広範囲に及ぶもので、企業分野に関わるiOSアプリの共同開発や、IBMの顧客にiPhoneやiPadを販売することが含まれます。両社にとってのメリットは次の様なことになります。IBM側にとっては、自社ソリューションの販売に組み合わせるモバイル機器を手に入れることになり、アップルにとってはIBMの販売力を使って、手薄とされてきた企業ユーザーの開拓ができることになります。

投資家の間では、両社の提携は、米国のタブレット販売を押し上げるのではないかと期待されています。開拓が期待されているタブレット市場は、小売り、金融サービス、運輸、教育、ヘルスケアなどです。タブレット端末の個人向けへの販売数量がピークを迎えたと見られる中、企業向けニーズを掘り起こす可能性があるこの度の提携は、市場からは期待されています。