河野太郎外相が12月18日におこなわれた自民党外交部会にて、平成31年度予算での外相専用機の導入に意欲を示した。現在政府では政府専用機2機を所有しているが、導入となれば省単位では初めてのこと。外相がおねだりしたのが「ガルフストリーム G650ER」、セレブにも人気のトップブランドだ。

皇族や首相が利用する政府専用機

プライベートジェット
(画像=PIXTA) ※画像はイメージです

政府専用機が所有している2機はボーイング747-400で、すでに導入後20年を経過しており、2018年度には同じボーイングの777-ERに切り替えられる予定だ。

専用機は天皇陛下や総理大臣の外遊時に使用される。アルジェリアで日揮(プラント建設)がイスラム過激派に襲撃された際には、現地駐在員保護のために出動している。ボーイング機は航続距離が長く、アメリカやヨーロッパ諸国への外遊に適している。入用人数も140人で、秘書官や同行記者団も引き連れるのも充分だ。

新聞や通信社が発信している「首相動静」でも報じられているが、首相が北海道・九州・四国といった遠方を訪問する際は、コンパクトかつ経済的な航空自衛隊のU-4を使うことが多い。U-4はガルフストリームⅣをベースとした多目的支援機(18人乗り・最大航続距離は6500km)であり、平成7年に導入後、現在4機を所有している(航空自衛隊HPより引用)

G650ERは最新鋭かつ最ハイグレード機種

ガルフストリームⅣがすでに導入後すでに20年が経過しているのに対し、河野外相が要求するG650ERは、2014年にデリバリーされた最新鋭機種である。ガルフ・ストリームはこの他、8-10人乗りのG280から始まり、G500・G550・G600・G650と合計で6機種のラインアップを揃えており、G650ERは最上位機種に属する。航続距離はU-4の倍以上の13,900kmに達し、東京からマイアミまでのノンストップ往復飛行も可能になっている。

プライベートジェットの市場規模は2兆円

プライベートジェットは、世界で2万機以上が保有されている。日本では85機と100機にも満たないのに対し、アメリカは1.3万機と突出している。欧米各国もイギリス589機・ドイツ410機・カナダ510機と日本を上回っている。

価格は、エントリーモデルのセスナ・サイテーションCJ2+でも689万ドル、ガルフストリームG650ERの場合は6450万ドルに達する。

それでもプライベートジェットは売れている。2017年11月16日にSankeiBizが報じたところによれば、リーマンショック前の年間1000機には及ばないものの、それでも700機近くの新造機が販売されており、市場規模は機体だけで180億ドル、約2兆円にのぼるとのことだ。プライベートによる経済効果は新造機だけではなく、リセール市場・機体整備・燃料販売・駐機料収入にまで拡がる。

海外におけるプライベートジェット文化

日本では富裕層によるレジャー使用・ぜいたく品との先入観が強いプライベートジェットだが、グローバル企業ではトップ同士の会談・エマージェンシー時の移動手段・世界各国の拠点訪問などに多用されている。最近では経営トップだけでなく、中間管理職や技術者の緊急移動にも使われるなど活用の幅を広げており、迅速かつ効率的な企業活動に寄与している。

後発であるアジアでも、中国は245機、インドは157機と、すでに日本を上回っている(日本ビジネス航空協会が2015年10月に発表した『ビジネス航空(ビジネスジェット)とは その現状と利用、そしてそのメリット』より)。

ビジネスジェット普及に向けた環境整備でも、例えば中国では、関税率引き下げ・空港整備・低空空域の解放といった施策を展開し、ますます差は開いている。プライベートジェット普及の遅れは、日本企業や都市の競争力低下にもつながると懸念される。国土交通省は、乗り入れに関する手続きの簡素化・チャーター事業に関する運用ルールの明確化・国際ビジネスチャーター便に関する規制緩和など、主にチャーター便普及に向けた施策に力を入れている。(ZUU online 編集部)