中国の上場銀行26行のうち、15行の2017財務年報が出そろった。一部の銀行では、経営計画を達成した。しかし全体に報酬が高すぎる、という声は少なくない。一方でFinTechの隆盛は銀行に人員削減を迫っている。経済ニュースサイト「界面」をはじめ、各メディアが銀行財務年報の分析記事を掲載した。中国の銀行は、どこへ向かおうとしているのだろうか(1元=16.97日本円)。

銀行員は高給取り

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(画像=testing / Shutterstock.com、中国・北京の中信銀行。2017年1月撮影)

中国における銀行員の平均年棒はどれくらいなのだろうか。トップ3は中信銀行814万円(47.96万元)招商銀行781万円(46.05万元)平安銀行771万円(45.45万元)であった。「工商銀行」「農業銀行」「中国銀行」「建設銀行」の国有四大銀行は4位以下に位置し、全行424万円(25万元)以下である。民営で特色を出している銀行が極めて高い。

それより1年前、2016年のデータだが、中国で最も平均年酬の高い都市は、北京の17.07万元、次は上海の15,50万元である。

しかし一般的な都市、例えばハルビンは7.28万元、刺繍で有名な汕頭は、6.49万元にすぎない(全国社保網より)。これらに比較してみれば、上位3行の平均報酬は、驚くべき高水準である。

2017年、15行の総人件費は5262億6500万元だった。前年比4.3%伸びている。そのうち15行中4行は2ケタ伸長だった。中でも「光大銀行」の人件費支出は44%増と突出している。マイナスとなった銀行はない。

人員整理は3万1000人

また15行中のうち7行は従業員をカットした。「工商銀行」は9155人「農業銀行」は9283人「建設銀行」は9807人、この大手3行だけで2万8245人を減らしている。

高給の「平安銀行」は4383人、「中信銀行」は1299人減少した。

逆に「招商銀行」は2069人、「光大銀行」は、1816人増えた。その他4行で若干増加している。その中では老舗の「中国銀行」が注目だ。904人の減員から2233人の増加へ転じている。

15行トータルでは増員8行、減員7行、3万1000人の減員だった。「平安銀行」のケースを見てみよう。減少人数のうち58%は派遣社員のカットだった。その他の業務人員は1616人減った。減少幅が最多だったのは「信用カードセンター」で4557人から2029人に減っている。信用カード時代の終焉を思わせる。

業務のIT化の進展によって、支店のテラーは営業へ配置され、派遣社員の規模も減少した。そしてカットされた人の88%は専門学校以下の学歴だった。

銀行員の悩み

「交通銀行」の董事長は、近年の銀行は、店舗とテラーの減少圧力にさらされ続けた。すでに伝統的な店頭サービスは、半分以下に縮小している、と語った。一方でモバイル口座の顧客数、ネット上の取引量は激増している。

例えばATMはすでに役割を終えている。モバイル決済の“猛発展”により、少額現金の需要は減った。そのためATM機を主力とする「維珍創意」という会社は、2017年に利益を90%減少させた。

また「中国銀行」では2017年“スマート窓口”を6317%増やしている。「工商銀行」の年報には23回もの“智能”の二文字が登場する。

銀行員には、“智能”の圧力と焦慮が高まるばかりである。某銀行の現役テラーは、「私の仕事はもうロボットのような感覚だ。マニュアル通り厳格に操作する。もしあと2年この仕事を続ければ、他に何もできない人間になってしまうのではないかと心配だ。」と述べている。

しかし若い銀行員は、こうした仕事の変化、AI化に対応することはまだ可能だろう。問題は年配の行員である。「農業銀行」では41~50歳の行員が19万1000人、全体の39.2%を占める。51歳以上は11.9万人、24.5%だ。国有銀行はどこも同じ傾向である。高給の仕事は容易に捨てられないだろう。彼らの年代にとっては、非常に厳しい挑戦が待っているわけだ。

どうやら経営陣のビジョンだけではなく、若手、ベテランを問わず行員のパフォーマンスも、各銀行の明暗を分けそうである。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)