「貯金したいけれど、収入が少ないうちはお金を使って楽しむことも重要」と考えている人は多いかもしれません。しかし、できる限り早いうちに貯金を開始し、30代前半までには、ある程度資産を作っておく必要があります。今回は、20代以降のライフイベントと必要額をおさらいし、早期に貯金を開始するべき理由を説明します。

20~30代は結婚&出産費用が必要

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(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)

ライフスタイルによって、大きな出費の発生する時期やその金額は異なります。しかし、一般的に言えば20~30代は結婚(他人の結婚に対するご祝儀を含む)や出産の費用を気にするのではないでしょうか。実際、結婚資金を貯めるのに苦労している人の話を聞いたことのある人もいるでしょう。

結婚の費用も個人差の大きいところですが、経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」を基に取扱件数1件当たりの結婚式場業の売上高を計算すると、2017年度で約285万円となっています。これはあくまで企業を対象とした調査であり、個人目線で考えると、カップルが結婚式場以外の衣装や小物、催し物、さらには新婚旅行に費やす出費はさらにかかっているはずです。もちろん、ご祝儀である程度費用の埋め合わせが可能ではありますが、それでも100万円以上の自己負担は覚悟する必要があるかもしれません。

出産費用については、公益財団法人の国民健康保険中央会が毎年データを公表しています。それによると、2016年度の妊婦合計負担額の平均値は50万円強です。自治体ごとに出産費用の補助が行われますので、自己負担額はそれほど大きくないと推測されます。しかし、切迫早産・流産などの問題で入院期間が長期化したり、出産後にNICU(新生児集中治療室)を利用したりすると、金額は大きくなります。出産前後の準備も含めると、やはり数十万円単位でお金を用意しておく必要があるでしょう。

以上を踏まえると、結婚するまでにある程度貯金が必要です。独身や夫婦二人暮らしのうちに浪費癖を直し、無駄遣いをしない生活習慣を身につけるべきです。

30~40代は教育費が負担

30代から40代にかけて、子どもの教育費に負担を感じる人が増えてきます。文部科学省の「子供の学習費調査」によると、幼稚園3歳から高校卒業までの15年間の学習費総額は毎年数十万円以上にのぼります。具体的には、すべて公立の学校に通ったとしても約540万円(1年当たり約36万円)、すべて私立の場合は約1,770万円(1年当たり約118万円)かかる計算です。

子ども用の生活費に加えて、教育費だけで毎月3万円から10万円かかるわけですから、親の世帯にとってはかなりの負担感があります。こう考えると、子どもが成長していくにつれて、余裕を持って貯金することが難しくなっていくと理解できます。

40代以降は教育費&住宅費&介護費が重しに

40代以降も、教育費の負担が続きます。収入が上がったとしても、子どもも大きくなるだけに負担も重くなります。また、マイホームを購入した場合は住宅ローンの支払いが加わりますし、場合によっては親の介護費も必要です。子育てと親の介護が同時に必要となる現象を「ダブルケア」と呼びますが、晩婚化や高齢化に伴ってダブルケアの負担に苦しむ人も増加することが予想されます。内閣府の「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書」によると、ダブルケアに従事する人の推計人口は25万3,000人とされています。

公益財団法人の生命保険文化センターによると、介護費用における一時的な費用の合計は平均で80万円、月額で7.9万円かかります。また、個人差が大きいのですが、住宅ローンの返済費用は総務省の「家計調査(家計収支編)」によると、平均92,945円かかっています。

教育費・介護費・住宅ローンを合わせると、最大で毎月20万円以上の出費となることが分かります。介護がなかったり、家賃の安い賃貸住宅に住めたりしたら出費は大きく減りますが、それでも「30代から40代以降は、家計収支はかなり苦しくなる可能性がある」と認識しておくべきでしょう。

貯金&長期運用で賢く準備

以上のように20代から40代までを見てみると、貯金を早い段階で始めておく必要性が理解できるのではないでしょうか。いざ40代後半ぐらいになって、自分たちの老後のことがリアルな心配事になったとしても、その時点で貯金ができていないと挽回は難しいかもしれません。毎月の家計収支を黒字にすることで精一杯となり、計画的な貯金はおぼつかない可能性があるからです。

したがって、ぜひ就職する20代前半~後半の時点で貯金の習慣を身につけるようおすすめします。確かに就職したての頃は収入も少なく、貯金可能額は小さなものかもしれません。しかし、貯金額以上に習慣を身につけることが重要です。結婚して夫婦共稼ぎとなれば、少なくとも子どもが生まれるまで、あるいは子どもが小さいうちは比較的大きく貯金できるチャンスです。

また、できればつみたてNISAやiDeCoなどといった税優遇措置を利用して、積立型の資産運用を開始しておくとよいでしょう。商品によっては元本割れのリスクは伴いますが、ただ預金しておく以上に資産を増やせる可能性があります。「塵も積もれば山となる」の言葉通り、長期にわたって積み立てればいざというとき、そして老後の助けになるでしょう。(提供:Incomepress


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