サッカーと税金に絡むトラブルが増えている--。

10月23日、元イタリア代表DFファビオ・カンナヴァーロ氏が脱税の疑いで90万ユーロ相当の財産を差し押さえられたとイタリアメディアが報じられた。報道によると、カンナヴァーロ氏は経営する高級船レンタル会社の船を個人的な目的で使用し、2005年から5年間で脱税行為があったと疑われている。

また10月3日には、スペインの各メディアが脱税疑惑によるアルゼンチン代表FWリオネル・メッシの法廷出席を報じている。メッシは、スペイン当局から2013年に脱税容疑をかけられ、裁判を起こされている最中だ。


メッシの脱税容疑の内容

メッシの脱税疑惑に関する裁判は、2007年〜2009年のスポンサーとの個人肖像権収入約410万ユーロ(約5億5800億円)に対し、タックス・ヘイブン(租税回避地)として知られるベリーズやウルグアイなどに設立された実体のない会社を通じて肖像権を販売することで、スペインの所得税を逃れたという容疑である。メッシは2010年に修正申告を行い、バルセロナの裁判所に出廷した際に、「金銭管理は父親がやっていた」と、関与していないことを主張。だが、この主張が却下され、裁判所からメッシにも法廷出席命令が下され、裁判を行うことになっている。


巨額の個人収入・高額の税金…脱税疑惑が起きる理由

何故こうしたトラブルが多発するのだろうか?まず、スター選手が得ているスポンサー収入が巨額であることがあげられる。今年5月の米フォーブス誌によると、2013年に世界で最も年収が高いサッカー選手トップ3はクリスティアーノ・ロナウド、メッシ、ズラタン・イブラヒモビッチだ。
メッシの総収入は約68億円であり、給与とボーナス収入は約44億円、スポンサー収入は約24億円だ。また、C・ロナウドの総収入はおよそ約77億円。そのうち、約26億円はスポンサー収入である。

このように、スター選手の総収入の3分の1を占めるスポンサー収入だが、通常は移籍金や給料などとは違いクラブを通さず個人やマネジメント会社に支払われる。取引先の企業を所得税率が低い国にある企業にすることで節税や脱税が可能となるのだ。
そこに厳しく目を光らせているのが、経済不振に苦しむスペインの当局だ。メッシのような大物をターゲットにすることで、税金に対する意識を高めようと、“狙い撃ち”しているとも噂されている。

一方、日本国内における所得税の最高税率は40%(標準課税1,800万円)だが、平成25年度の法改正により2015年から45%となり、高額の所得を得ているサッカー選手にはより厳しい税制となる。Jリーグではつい最近、外国人監督・選手の消費課税漏れが発覚したばかり。所得税の改正を前に、海外の事例を教訓にしてさらなる税金トラブルを事前に防止できるか、日本サッカー界の対応にも注目したい。

(ZUU online)

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