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10月22日、イオン <8267> は、傘下のドラッグストア4社の経営統合を発表。まず、ウエルシアホールディングス <3141> を子会社化した上で、CFSコーポレーション <8229> (横浜市)、タキヤ(兵庫県尼崎市)、シミズ薬品(京都市)を完全子会社とする。これら4社の売上高を合計すれば5,100億円となり、約4,950億円のマツモトキヨシホールディングス <3088> を抜き業界トップとなる。2015年9月までに4社の経営統合を完了させる予定だ。

10月3日に発表した決算では、イオンは主力スーパー事業の売上高を凡そ7兆円規模までに拡大したが、天候不順に加え、消費増税による販売の回復遅れが響き苦戦している。2014年2月期の連結売上高は6兆3,951億円で、この数字はライバルのセブン&アイホールディングス <3382> を7,600億円上回ったにもかかわらず、営業利益はセブン&アイの3,396億円を遙かに下回る1,714億円だった。

イオン苦戦の背景には、消費増税で消費者の財布の紐が固くなる一方、コンビニやドラッグストアなども含めた小売業界の競争が激化していることにある。コンビニ業界が好調な一方、客足が遠のいているスーパー業界は生き残りをかけ様々な形で再編を模索している最中だ。


ドラッグストアの経営統合

今回のドラッグストア統合について、イオン、CFSとウエルシアHDは、「両社の強みである「調剤事業」に着目し専門性の高い調剤薬局併設店舗の推進を行い、ウエルシアHDの持つ郊外型店舗のノウハウとCFSが持つ都市型のカウンセリング営業のノウハウを相互交流させることにより、日本最強のドラッグストアモデルを作り上げ、「日本一のドラッグストアチェーン」の確立を目指す」としている。

イオンは、この経営統合によりウエルシアHDの持つ、深夜営業、及びカウンセリング営業に対応し、業界最高水準の併設率を誇る調剤薬局を手中に収めることになる。これを機会にセルフメディケーションだけではなく、都市型小型店開発や共同調達、及び商品開発を行うなど様々な点でシナジー効果を狙うだろう。

また、小売業日本一のイオンだが、実はコンビニ業では業界5位のミニストップを持つに過ぎず、個人の消費を獲得でき、成長余地のあるドラッグストアは魅力的な拠点だろう。個人消費が進む日本では、今後スーパーが伸びることは考えにくい。ただし、今回統合した各社は別々の地域に拠点があり、今後更なる効率化による再編の余地は大きい。


イオンとドラッグストアの今後

イオンによるドラッグストアの経営統合が行われれば、約20年ぶりにドラッグストア業界の首位交代が実現する。イオンはドラッグストアだけでなく、ダイエーを完全子会社化するなど総合スーパーや食品スーパーでもグループ内再編を進めることで、セブン&アイより劣っている収益力の向上を図ろうとしている。この動きが競合店舗の過剰供給等で経営効率の悪いドラッグストア業界のさらなる業界再編を促す可能性もある。

(ZUU online)

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