②ミャンマー投資の魅力、その成長ポテンシャル


現在、ミャンマーには以下のような経済的な魅力=成長のポテンシャルがあると言われています。

Ⅰ.中国・インド・タイなどと国境を接し、「アジア経済回廊」と呼ばれる交通の要衝に位置する。国土は日本の約1.8倍で豊富な天然資源。

Ⅱ.人口は約6400万人とほぼタイに匹敵し、増加を続ける生産年齢人口によるGDPを押し上げ。

Ⅲ.人口ボーナスの恩恵と1人当たりGDPの水準から予測される今後の経済発展と消費拡大のポテンシャル。

Ⅳ.平均年齢も若く、安く質の高い労働力が豊富なことから生産拠点として魅力的。

Ⅴ.民主化による、欧米中などからの経済措置の緩和による海外マネーの流出期待。


③進む各国のミャンマー投資と日本企業の動向


ミャンマーへの投資ですが、欧米からは経済制裁が続いたこともあり、中国を初めとするアジア各国が先んじています。

特に、中国の動きは活発であり、中国はミャンマーに対して3つの戦略的な利益の確保を狙っていると言われています。1つ目はエネルギーの調達と安全保障、2つ目はインドへのアクセス、3つ目は国境貿易と国境地域の治安です。
2010年頃までミャンマーへの直接投資の累計額はタイが1位だったのですが、2011年1月末時点の中国からミャンマーへの直接投資の累計額は96億ドル(約8130億円)で、国・地域別でタイを抜き首位となりました。ミャンマーは中国からインド洋に抜ける軍事的な要所でもあり、中国企業のミャンマー進出には国家的な意図もあるのではと言われています。

なお、現在日系企業も奮戦しており、首都ネピドーには丸紅、三菱商事など大手7社が拠点を据え、IT、ゼネコン、金融業界も相次いで進出しています。他に、ヤンゴン市北部近郊のミンガラドン工業団地では婦人服製造のハニーズなどが操業し、王子ホールディングスなども段ボール工場の建設準備を進めています。また、スズキは2013年中に小型トラックの生産を開始予定となっています。


④ミャンマーが抱える課題


以上のように、投資対象として魅力が多いミャンマーですが、いくつかの課題も存在します。

まずは、インフラ面での整備の遅れが目立ちます。2009年のIEA調査では電気普及率はアジアで最低であると報告されました。
他にも都市、港湾等の整備も不十分であり、2005年の数値ですが、国内の道路舗装率も12%と決して高くはありません(日本は2007年の発表で80%)。

また残念ながら新政権も安定しているとは言えず、政治的な不安もつきまといます。現在ミャンマーには130を超える少数民族が存在し、武装勢力による反政府運動も長年に渡って行われてきました。
例えば、1949年にミャンマーの少数民族カレン族が蜂起を起こしてから、60年以上も内戦が続いています(これは世界で最も長い民族紛争になります)。

ただ上記のうち、インフラ整備の遅れは今後のインフラ需要が大きいということでもあり、新たなビジネスチャンスとも取れるかもしれませんね。