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新法案審議入り

10月31日、『女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案』が衆議院本会議で審議入りした。国や地方自治体に加え、従業員が300人以上の企業・団体に対し、女性管理職の割合などの数値目標を公表することを義務づけるものだ。 有村治子女性活躍担当大臣はこの法案について「仕事と家庭が両立しうる多様な勤務形態の整備や、退職者の再就職支援の促進など、それぞれの女性の意思に応じた働き方の実現を推進する」と述べている。


女性の活躍が日本を支える

少子高齢化が進む日本では、高度成長期のように女性が家を守るという考えでは経済の成長は見込めない。生産年齢人口の減少によって低下している労働力を、女性の労働力で補い、経済成長に繋げる。これが『アベノミクス』の経済成長における成長戦略だ。実際に、日本の女性労働率が男性並みに上昇すれば、GDPが大幅に上昇すると言われている。

男女雇用機会均等法の成立以降、職場においての女性の地位は向上したものの、結婚を機に退社、出産をするという流れは大きく変わっていない。女性が活躍出来る社会の構築を内閣自らが手本として示すことで、民間企業へ女性の活用を促している。

現代社会の消費を牽引しているのはまぎれもなく女性。その女性をターゲットにした製品の開発には女性の視点や意見は欠かせない。女性特有の着眼点や感覚を経営に活かしていくことは重要だろう。

EUでは欧州経済危機から間もない2011年3月に、「経済再建のためには、女性の力を生かすことが欠かせない」と考え、女性役員クオータ制導入の議論を始めた。また、女性を活用している企業ほど業績がよく生産性が高いことは、各種調査で明らかになっており、欧米企業には、業績向上のために女性の力が不可欠だという考え方が浸透している。マッキンゼー&カンパニーは、女性役員の登用と業績には正の相関があるという分析結果を出している。女性の役員比率が高い企業は、役員が男性のみの企業に比べると、ROE(株主利益率)が41%高いというものだ。


しかし障壁も…

一方で女性が活躍する際には、どうしても結婚・出産というキーワードは外すことができない。今の社会では夫婦共働きが主流になってきているため、結婚を契機に退職するといういわゆる寿退社は減少したが、その一方で現実的に仕事と育児を両立させることが難しいため、出産・子育てを契機に退職する流れは続いている。その背景にあるのは「夫の長時間労働」である。


「夫の長時間労働」が大きく関係

2012年6月に開催された「TEDxTokyo」で、株式会社ワーク・ライフバランスの小室淑恵代表は「夫の長時間労働」こそが、実は真の少子化の原因」と指摘。「山積みする社会問題をタダで解決する、たったひとつの方法」として「夫の長時間労働をやめるべき」と語っている。

夫の育児参加率、家庭における育児の割合は高くなっておらず、女性の負担は大きい。そもそも日本経済の課題は少子化に伴う人口減少による将来的な財源不足にある。少子化という根本的な問題を解決するには女性の社会活用を促進する一方で、出産・子育てに対しての支援が必須だ。そうでなければ、より一層の少子化を促進させるという悪循環にも陥りかねない。

今以上に女性に負担を強いる『女性活用』は果たして正しい道となるか——。

(ZUU online)

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