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牛丼チェーン店すき家などを運営するゼンショーは、2015年3月期の業績予想を13億円の赤字から75億円の赤字へと大幅に下方修正した。さらに、これまで1株あたり8円あった配当はゼロとなり、ゼンショーの経営状態が深刻なものであることが伝わるのではないだろうか。ゼンショーは2013年の同時期にも、62億円の純利益から5億円に業績予測を下方修正している。牛丼業界で一人勝ちをしていたはずのゼンショーが凋落してしまったのは一体なぜなのか。


ゼンショーが転落したきっかけ

ゼンショーが業績を落とした背景にあるのがワンオペレーション、通称ワンオペと呼ばれる運営方法にある。深夜の営業を1人で回すワンオペは従業員に対して非常に負担となっており、それが今年の消費税増税と相まって一気に露見した形だ。ワンオペに反発する従業員は次々と店舗を辞め、人手不足によって閉鎖する店舗が続出。ワンオペは労基署の指導対象にもなり、対応できない店舗は深夜営業を取りやめるなどの事態に陥った。この一連の対応によって、費用が増加したことと、収入が激減したことが今年度のゼンショーの転落の主な原因となっている。さらには、牛肉のなどの食材高騰も追い打ちをかけている状況だ。


価格設定で競合店と差が生まれた

ゼンショーの業績低迷の原因の1つになっている牛肉の値上げについても競合である吉野家、松屋とゼンショーでは対応に明暗がついている。吉野家は牛肉が安かった頃に積み増しした在庫を活用してしのぎ、コスト増に対応した。松屋は牛丼並盛りよりも90円値段を高くした『プレミアム牛めし』など高単価商品の売上を伸ばし対応した。一方のゼンショーは、低価格路線からの変換を行い、値上げを行ったのは8月になってからと競合2社に比べて対応が遅れたことは否めない。

業績を見ても、吉野家は2014年3月〜8月期は大幅な増益を計上し、松屋も横ばいを維持している。大幅な赤字を出しているゼンショーとは大きな差がついてしまった。2012年までは牛丼戦争一人負けと言われていた吉野家が復権し、一人勝ちと言われていたゼンショーとの逆転劇が起こっている。


ゼンショーの今後の対応が回復への鍵

ゼンショーグループはすき家だけでなく、なか卯、ココス、ビッグボーイ、宝島、はま寿司など多くのチェーン店を抱えている。とは言え、経営の中心にあるのはやはりすき家で、すき家の浮沈がグループの命運を握っていると言っても過言ではない。ニュースでは2015年3月期の業績予想で大幅赤字との見出しが踊っているが、売上予想は前年度よりも8.7%増の5092億円を予想している。牛肉の値上げによる経費増、そしてワンオペレーション対応による店舗閉鎖が改善されれば、次年度は利益回復の可能性も十分考えられる。しかし、現時点でワンオペレーションに変わるシステムの導入や、改善策、店舗再オープンなどの目立った動きが出てきていないのも事実である。今後のゼンショーの対応策に要注目だ。

(ZUU online)

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