今回は前回に引き続き、メディアから得られる情報はいかなるものなのか、そして、その情報収集の効率及びメディアリテラシーを高めるためにできるオススメの方法をお届けしたいと思います。

【参考:東南アジア株式シリーズ】
成長する東南アジアの恩恵を享受する~各国市場の特徴と注目銘柄[マレーシア・インドネシア編]〜
成長する東南アジアの恩恵を享受するVOL2~各国市場の特徴と注目銘柄[シンガポール・ベトナム編]〜
成長する東南アジアの恩恵を享受するVOL3~各国市場の特徴と注目銘柄[フィリピン・タイ編]〜

【参考】
お勧め情報収集術〜金融機関発行のレポートの読み方1〜
お勧め情報収集術~アナリストレポートと決算短信の比較や、業績動向の読み方など!〜
意外と知られていないビジネスネタの宝庫〜アナリストレポートの入手法〜
意外と知られていないビジネスネタの宝庫の続き〜各社アナリストレポートの詳細比較〜




◎情報の「バイアス」と「非対称性」


そもそも「情報」というののは形がなく、本来とても曖昧なものです。一次情報以外は、間違いなく作り手がいて、それが消費者の手に渡るまで、色々な人を介します。ですから、様々に加工され、脚色され、かつ「ちょっと人の心に響かせるように」というバイアスがかけられているケースが多いことを覚えておきましょう。
このバイアスは、マーケットのニュースでもよくみられます。例えば、アナリストはジョブセキュリティーのために、自分が担当するセクターや銘柄の上昇を書き、実際に株価が上昇させるなんていうケースはよくあります。ニュースや情報にはつねにそういったバイアスがあるということを頭の片隅に入れておきましょう。

また、情報の非対称性という言葉をご存知でしょうか?私がこの言葉を教えてもらったのは、経済評論家の山崎元氏からでした。同氏は、「情報の非対称性があるから、金融ビジネスは成り立つのです」と教えてくれました。情報の非対称性とは、マーケットにおいて買い手と売り手が持っている情報が均等でない、という状態のことです。

「奥さん、この銘柄、これこれこうで、いいですよ!」というような営業トーク、謳い文句は、当然ながら、商品に対する情報を「売り手が多く持ち」、「買い手が多く持たない」という状態でしか成立しませんよね。例えば証券の営業マンが、銘柄に対して、自分よりも知っている人に対してその銘柄を売るということは、ほとんどの場合できないわけです。
この非対称な状態では、買い手、つまり取引当事者のうち、情報が少ない方が不利となります。ちなみに、米国などではこのような「情報の非対称性」でビジネスが成立している市場を「レモン市場」と呼んでいます。

情報の非対称性という言葉に象徴されるように、マーケットは情報が全てです。そして、その情報を取り扱うための思考力がとても重要なのです。