こんにちは。事業承継問題に取り組んでおります行政書士のS.Kです。
毎週木曜日に「オーナー企業のための事業承継シリーズ」を連載しております。

前回もお伝えした通り、会社の事業承継において最大の問題となるのは会社の後継者を選定するということです。どのような方を会社の後継者として選定するかによって、10年後、20年後の会社のあり方が左右されるということは、ご理解をいただけることかと思います。

事業承継における後継者選定の方法については、必ず答え正しい答えが出る方程式は、おそらくないと思います。ただ、後継者選定に関し、考え方の「めやす」となる一定の視点をご提示することは可能です。今回は後継者選定のポイントとなる点をまとめていきますので、ご参考になればと存じます。

【参考】

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【オーナー企業のための事業承継シリーズ】

オーナー企業のための事業承継vol1「事業承継の必要性と円滑化のための法制度とは?」
オーナー企業のための事業承継vol2「後継者選びのポイントとは?」


◉後継者は子息か第三者か


後継者選定の際にまずお考えいただきたいポイントとしましては、会社の後継者としてふさわしいのはご子息か役員等などの第三者かどうかという点です。
会社の事業承継といいますと、「家業」という言い方がありますように、どうしても日本では血縁のある子息に引き継がせるものという意識が強い傾向があります。

もちろん、ご自身が築いてこられた大切な事業を血のつながりがあるご子息に引き継がせたいというお気持ちは至極当然なものであると思います。また、ご子息に強い経営意欲と責任感さえあれば、仮に現時点では経営能力が十分と言えなかったとしても、優秀なブレーンを付けることで、現時点での経営能力不足はカバーし、将来の成長を期待することも可能です。
ただ、ご子息に必ずしも経営に意欲がないような場合もあります。例えば、自らの勤め先でバリバリ活躍しているところを会社の承継のために突然引き戻すなどは会社の将来のためにも、ご子息のためにも決してプラスとなることはないと言えます。ご子息が自分の人生を自分で選び、歩んでいるような場合に強引に経営を承継させることは将来、どこかで無理が生じてしまう可能性があります。

会社を承継させる方を必ずしも子息に限る必要はありません。事業内容をよく理解し、事業に対する意欲と向上心があって、取引先からも信頼され、正社員から非正規社員まで行き届いた配慮ができつつ、会社の利益を上げるための判断ができる人材が会社の役員や従業員の中にいるのではないでしょうか。
第三者であっても会社の将来を考えられる方を選定することが重要です(第三者が承継するための様々な法律制度も整っています)。