世界第2位の経済大国。かつては日本が浴した栄光に今、輝いているのは、日本の隣国である中国。日本の経済成長を自動車産業・市場がけん引してきたように、中国でも膨大な人口と、経済成長からくる旺盛な需要に支えられ、同国内の販売台数も、近年に至っても、順調な伸びを示してきた。

ビジネスの側面からももちろん関心が高く、中国に参入している日系、外資自動車メーカーも数多い。日本勢ではトヨタ自動車 <7203> はもちろんのこと、本田技研工業 <7267> や日産自動車 <7201> も、さまざまな障害に直面しながらも、事業を積極的に展開しているのが現状だ。

世界中からこぞって投資の集まる中国国内の自動車市場ではあるが、当然に存在するリスクを指摘するのはブルームバーグのシニアアナリストであるスティーブ・マン氏。2月3日に開催された「ブルームバーグ・インテリジェンス」2015年経済・産業セミナーでの同氏のプレゼンに基づき、今年の見通しを解説する。

マン氏が今回、指摘したのは、中国自動車販売市場における3つのリスクだ。第1にあげられたのは中国経済の景気減速。著しい成長を続けていた中国経済だが、このところ減速が目立っており、昨年の国内総生産(GDP)成長率も7.4%と、前年の7.7%を下回った。市場でも広く懸念されている中国の景気減速が数値にも表れてきたのかと疑われるような状況だ。

「中国経済の成長鈍化の見通しが、自動車の販売台数にも影を落とすおそれがある(マン氏)」と景気減速が自動車の販売台数全体にも負の影響を与える可能性があるとの観測だ。

ほかにも、自動車販売のハードルとして懸念されるのは、中国国内でも問題視され、日本にもPM2.5の問題として影響を及ぼしている大気汚染問題だ。中国の都市部でも大気環境の悪化を受けて、新車の登録台数を制限するとみられており、自動車販売の台数に影響しかねないという。

プレゼンターとして分析を披露したマン氏は、一部の都市で登録制限から同規模の都市で販売台数が鈍化する恐れがあると指摘する。

最後のリスクは、中国の自動車メーカーで、積み上がっている過剰な在庫だ。2013年の中国自動車在庫指数と昨年の同指数を比べると、一昨年1年間のうち7カ月で2014年の指数が上回るという結果が示されている。つまり、中国国内の自動車の在庫が過剰気味になっている恐れがあり、中国の自動車メーカーも「減産と値下げに踏み切る可能性がある」とのことだ。

経済の成長にも翳りの見える中国経済だが、今回指摘された3大リスクを踏まえれば、自動車販売でも黄信号がともるかもしれない。ウクライナで長引く内戦や、中東を震源地に全世界が揺れている不安定な現状を踏まえれば、まだまだ、慎重に推移を見守る必要がありそうだ。

(ZUU online)

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