イオン岡田社長の「首都圏スーパーマーケット連合」構想 新会社上場でどうなる?

3月2日、丸紅 <8002> とイオン <8267> による共同持株会社、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社(U.S.M.H)が、東証一部に上場となる。新しく設立される持株会社の完全子会社となるマルエツ <8178> とカスミ <8196> は、2月25日をもって上場廃止となった。もう一つの完全子会社マックスバリュ関東は非上場会社である。この共同持株会社は、3月2日に会社登記、株式市場上場(東証一部)と株式移転が同時に行われる。

単純合計であるが、新・持株会社の2015年2月期予想営業収入は約6,400億円、営業利益、経常利益とも100億円強で、業界1位に浮上する。3社の昨年10月末の首都圏店舗数は約479店。上田新社長の計画では、首都圏のスーパーマーケット企業のトップとして、2020年までに1,000店舗体制で年商1兆円達成を掲げている。

イオンの岡田元也社長が「首都圏食品スーパーマーケット連合」構想を持ち出してから、約2年になる。持株会社を通して、すでにイオン・グループ体制に入っている3社を100%子会社として統合するのは、この構想路線上のことだ。消費者増加が成熟化した日本で「首都圏は有望な市場」であり、今回の統合で、競合激化する小売業界で「日々変化するニーズに合わせた消費者シェア獲得をはかり、売上拡大を狙う戦略」が実現化した。3社は自主自立経営を前提に、屋号も残すが、「商品開発や物流、システム、店舗開発、本部機能の集約」について、今後具体策を詰め、経営の効率を引き上げる。

2020年までの目標である年商1兆円達成は、今期予想通りの売上と今後年率5%増収を確保すれば達成不可能な数値ではないが、店舗数を2倍以上に拡大するには、今回統合した3社だけではやや力不足である。上田・新社長は「志を同じくする首都圏のスーパーマーケット企業の参画を歓迎する」と述べているように、さらなる統合を拡大していく余地を探っているようだ。うわさとして今回の3社以外にイオンが出資するスーパー、いなげや、ベルクなどの名前が挙がっているようだが、今のところ現実的な動きはないと見られる。


株式移転による新・持株会社設立までの流れ

イオン・岡田社長が提唱した「首都圏におけるスーパーマーケット連合」構想に基づく基本合意書がマルエツ、カスミ、イオン及び丸紅の間でかわされたのは、2014年5月である。その後10月末に本契約締結、3社による株式移転計画書作成、さらに共同持株会社設立(株式移転)に係るイオンと丸紅による合弁会社の運営、合弁会社とイオンによるマルエツ株の公開買付けが公表された。11月21日付で公正取引委員会から企業結合審査の結果を受領し、本格的実質的な統合にむけた準備が加速する。2015年1月21日から公開買い付けの決済が発生し、3月2日に株式移転の効力が発生した。

この共同持株会社は、イオンと丸紅により同じく新しく設立された合弁会社が、概ね7対3の割合で新設持株会社の株式を保有することになる。結果として共同持株会社はイオンの子会社、丸紅の持分法適用会社となる。

なお、マルエツの普通株1株に対して持ち株会社の0.51株、カスミ1株に同1株、マックスバリュ関東1株に同300株が割り当てられる。