今回は不動産投資で要注意のデッドクロスについて紹介したい。簡単に言うと、デッドクロスとは手持ち資金が無くなって返済に困るという状況を指す。当初は減価償却費が大きく、キャッシュリッチだった不動産オーナーが、年数が経つにつれて減価償却できる額が減少し、借入金の返済原資の方が大きくなってしまう。不動産賃貸業において、利益は出ているのに借入金の返済に息詰まってしまうという、この状況こそがデットクロスなのである。

なぜこのような状況が生じてしまうのか、詳しく見ていくことにしよう。


不動産を企業と考えた場合、その損益計算書はどうなるのか



まず、収益不動産を一つの会社と考えて、その損益計算書の観点から眺めてみることにしよう。不動産賃貸事業を個人で行う場合は青色申告等の確定申告、法人で行う場合は決算書の作成が必要となるため、何が経費になるのかを損益計算書の観点から把握することは重要だ。

①売上高



売上については、家賃収入がメインとなり、その他に駐車場収入や看板使用料、自動販売機設置料、礼金を徴収できる賃貸マンションであれば礼金収入等がある。損益計算書上では、これらの収入を合わせた金額が売上高に相当する。

②売上原価と販売費および一般管理費



通常の事業であれば、仕入という売上原価が発生するが、不動産賃貸業の場合は、この売上原価に相当する費用に該当するものはない。販売費及び一般管理費として生じるのは、土地建物固都税、建物保険料、修繕費、清掃や法定点検等のメンテナンスコスト、管理会社に支払うPMフィー、共用部のエネルギー使用料に加え、建物の減価償却費というキャッシュアウトしない費用がある。

通常「減価償却費以外の経費」は賃料収入の20~30%程度の範囲が適正であり、これ以上経費が掛かっている場合は、その賃貸事業の運営は苦しい状況であるといえる。賃料収入から「減価償却費以外の経費」を差し引いた金額は、NOI(ネットオペレーティングインカム)と呼ばれ、その数字が投資額に対して何%であるかが投資の指標となるのである。NOIに減価償却費が含まれない理由については諸説あるが、元々は海外投資家がNOIに減価償却を含まずに議論していたため、その考えを承継したとも言われている。

③営業利益と経常利益



NOIから減価償却費を差し引いた金額が、損益計算書における営業利益となる。さらに、この営業利益から営業外収益と営業外費用を差し引いた金額が、経常利益となるのだ。通常、不動産賃貸業において営業外収益に相当する収入は、保証金の運用益だ。営業外費用は銀行への返済金利が相当する。注意したいのは、元本の返済額は損益計算書上には明記されなということだ。