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(写真=ZUU online 編集部)

投信評価、金融総合情報の提供を行うモーニングスターが毎年公表している、優れた投資信託を表彰する「ファンドオブザイヤー」。2014年についても、優秀な成績を収めた投資信託がその栄誉に輝いた。

同社のファンドオブザイヤーが注目されるのは、選定基準に運用成績や運用効率などの定量的な評価に加え、運用体制や運用プロセスといった定性的なポイントまでを評価の対象としている点だ。単に、優れた運用成績を収めただけではなく、質の面で優れた投資信託となるにはどのような点が重要なのか。そこで今回は、モーニングスターの朝倉智也社長に、ファンドオブザイヤー選定における定性評価について踏み込んでお話しを伺った。

―『ファンドオブザイヤー2014』を選定する際に、定性的な評価を非常に重視されていたというメッセージがありました。定性的なポイントを評価に組み込むということの価値や意義はどういった点にあるのでしょうか。

朝倉智也社長(以下、朝倉) : 『ファンドオブザイヤー2014』の記念講演でも少し触れましたが、定量的な結果はあくまでも数字としての結果です。私がいつも申し上げているのは、数字の結果を将来も同じように再現できるかが重要です。個別の企業に投資する際もその会社の経営理念やコンプライアンス、リスク管理体制がしっかりしていると、相場に変動があってもある程度は投資家の方も安心できます。

ファンドも同じで、たまたま1年間の運用成績がよかったケースも当然あるわけです。もちろん、ファンドオブザイヤーなので1年間の運用成績は重要です。従ってリスクを考慮したリターンを測るシャープレシオという数字が最低限そのファンドが属する類似のカテゴリーの平均を上回っていなくてはいけません。

ただ、必ずしも運用成績がトップのファンドが選ばれているわけではありません。トップではなくても運用成績が上位で、管理体制や運用調査体制などの定性面がしっかりしていれば『ファンドオブザイヤー』の候補に入ってきます。

さらに言いますと、トップのファンドのファンドマネージャーが一人で運用しているケースは極端ですが、アナリストが一人もいないというケースはあります。一方では、トップではなくてもアナリストを数十名は揃えていて、日本株であればセクターごとにアナリストがいて、ファンドマネージャーはアナリストが綿密に調査した情報を参考にして銘柄を選定している場合があります。

すなわち運用や調査の体制がどれだけしっかりしているかということがポイントです。例えば純資産残高が10億円からいきなり100億円になると、10億円のファンドであれば自分一人で数社は訪問できるかもしれませんが、100億円の規模にもなるとさすがに一人で動くのは難しいです。