企業間で取引するサービスの価格を示す企業向けサービス価格指数は、増税後も前年比でプラスを維持してきたが、2月に続いて3月も伸び率が鈍化。ただ今後増税の影響が薄れれば、再び拡大していく可能性もある。


前年の増税前の駆け込み需要の反動

日本銀行が発表した3月の企業向けサービス価格指数(2010年平均=100)は対前年で3.2%上昇。昨年4月の消費増税の影響を除いたベースでも0.5%押し上げられた。ただいずれも、21か月間上向き続けてはいるものの、上げ幅は前月から0.1ポイント下がり、2カ月連続で縮小している。

税抜きで見ると、主要7項目のうち金融・保険のみ横ばいにとどまり、不動産は0.4ポイントと最も落ち込み、その他も各々0.1ポイントずつ悪化。不動産は店舗賃貸や事務所賃貸(東京圏)の価格下落がマイナスに寄与し、-0.3%と3カ月ぶりに反落した。情報通信はパッケージソフトウェア、受託開発ソフトウェアの価格が値下がりし、これも-0.3%となり3カ月悪化が止まらない。広告の場合、雑誌は値上がりしたものの、テレビや新聞が押し下げられ、全体では-0.9%と2カ月連続で縮小となった。

運輸・郵便は、貸し切りバスなど道路旅客輸送は料金の伸び率が拡大したものの、国内航空旅客輸送は北陸新幹線開業の影響を受けて値下がりしたため、トータルでは1.0%となり0.1ポイント上昇幅が縮減。諸サービスに関しては、2月に春節休暇で中国人観光客が増大したが、3月はその反動があり、宿泊サービスなどの料金が下がって、0.9%とやはり0.1ポイントダウン。

このように、訪日観光客や去年4月の増税前の駆け込み需要について反動減があったことから、値下げを余儀なくされたといえよう。


物価と異なりサービス価格は下落しにくい

消費増税による需要減退の影響は、当然企業の生産活動にも影響を及ぼしている。

増税前(2013年4月~2014年3月)と増税後(2014年4月~直近月)の対前年平均値を見ると、鉱工業生産指数は3.3%から-0.3%、第3次産業活動指数は1.2%から-1.5%へと、各々マイナスに転落している。つまり物とサービスを問わず、増税の影響は大きく需要後退は避けられないということであり、特にサービスの方が下げ幅は大きかった。

それでも、サービスが物より買い貯めしづらいことも影響していると見られ、鉱工業は3.6ポイントと大きく縮小したのに対し、第3次産業は2.7ポイントと下落幅がまだ小さい。すなわち、サービスの方が物よりも需給関係が悪化しにくく、価格への影響が少ないと考えられる。

それに加えて、原油安は石油製品などの物の価格は大きく押し下げるものの、サービス価格には影響しにくい。その結果税抜きで、企業物価指数は1.84%から-0.03%へと1.87ポイントもダウンしているのに対し、企業向けサービス価格指数は0.2%から0.7%へと微増を維持している。


上げ幅拡大には内需回復が必要

元々物価ほどには変動が大きくないことに加え、4月以降は増税などの反動減の影響が薄れていき、サービス価格は緩やかに伸びていく可能性がある。それでも、90年代から長年続いてきた下落基調から本格的に抜け出すには、やはり内需の本格回復が欠かせない。

実質消費支出、新設住宅着工戸数、機械受注のいずれも、季節調整値の前月比で見れば昨年4月以降プラスの月が多い。また消費動向調査の消費者態度指数、景気ウォッチャー調査の家計・企業動向関連の先行き判断DIともに、前年12月からほぼ上昇が続く。このように、客観的データと主観的意識の双方とも、内需が伸びていく可能性があることを示す。

上述の通り、サービス価格は物価よりも伸び方は小さいだろうが、それでも需要が増えるにつれて緩やかに上昇していくだろう。これまで特に伸び率の低かった不動産、情報通信、広告がどれだけ値上がりしていくか、特に注目が必要となる。(ZUU online 編集部)

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