コンビニエンスストア大手のローソンが、100円の商品をメインで扱う「ローソンストア100」の直営店200店を閉鎖する。合わせて他のローソンストア100店のうち60店とローソンマート全39店を、通常のコンビニエンスストアやドラッグストアを併設した高収益性店舗へ転換することが分かった。

もともとローソンストア100はローソンが自社で独自に始めた事業ではなく、2008年に九九プラスが運営する99円ショップの「SHOP99」の完全子会社化にともない、「ローソンストア100」に転換・統合し出店を進めてきた業態だ。これまでバリューラインという税込み108円均一の低価格なローソンのプライベートブランドを積極的に販売する等、低価格商品を押し進めてきた。

デフレによる低価格志向の消費者に受け入れられ、ローソンストア100は最盛期には1,100店舗近い出店を果たした。しかし近年では既存店売上高が前年を下回り続けるなど、苦しい台所事情となっていた。

一方ローソンマートは、提携農場で栽培した生鮮食品を積極的に扱う等、コンビニとスーパーの良さを併せ持つ店舗として、2014年2月にスタート。現在では39店舗を展開するほどになったが、前年比16%の減を見込むなど業績は低迷している。

立ち位置が曖昧で、顧客に良さを十分に訴求できていない

ローソンストア100とローソンマートは、ともに立地条件が悪い地域への出店が多い。とくにローソンマートは、当初は住宅地など近隣にスーパーがない地域を中心に、3年で500店を出店するという計画さえあった。しかし立地条件が悪いため、業績も思ったより振るわず、わずか1年で事業転換を迫られた格好だ。

ただし、立地条件だけが原因ではない。ローソンストア100とローソンマートは、立ち位置が曖昧過ぎた。ローソンストア100は、コンビニほど品揃えやサービスが良いわけでもなく、100円均一のように商品が豊富でもない。ローソンマートもスーパーほど品揃えがいいわけでもなく、価格的にも低価格商品を扱う小型スーパーには勝ち目がなかった。地域にこの店しかないのであればともかく、ちょっと足を運べば品揃え豊富なスーパーがある場合は、どうしても客足はそちらに向かいがちになる。

一方、イオンが展開する「まいばすけっと」は、店構えはコンビニのようだが中味は食品スーパーを凝縮したような品揃えを展開。100円のような均一価格ではないが、99円や88円といった低価格で生鮮食品を取り扱い、全国で600店舗近く出店する等、勢いが止まらない。またスーパーのマルエツが運営する、食料品メインで24時間営業「マルエツプチ」も店舗を積極的に展開しており、こうした小型スーパーともいうべき店舗は、とくに都市部を中心に顧客は確実に流れている。