米国の住宅市場はこの1年販売が伸び悩み、市場の期待とはかなり異なる形で推移してきているものの、2015年の年明けからは実質的な長期のローン金利が下落し、中古、新築ともに堅調と予想するエコノミストは非常に多くなっている。

しかし、マクロ的な視点で見ると米国の経済状況は様々な変化が出始めていることがわかる。またFRBの利上げが住宅市場にどのような影響を及ぼすことになるのかも気になるとことだ。


年々下がる全米の持ち家比率

セントルイス連銀が発表している全米の住宅所有率の推移を見ていると、持ち家比率は年々低下しつつあり、2014年は64.5%にまで下落していることがわかる。

そもそもサブプライムローン問題は米国民の持ち家志向が大きく後押ししてきたはずなのだが、それ以前から既に持ち家比率は下落しており、現状はそのような購入意欲が回復していないことを示唆している。

この7年あまりすべての経済的な停滞はリーマンショックのせいになってきているが、米国の不動産市場はそれとは別の問題をかかえながら推移しているのだ。


持ち家率の低下は貸し出し基準の厳格化も起因

ここ数年で米国家計の居住形態は持ち家から貸家に確実にシフトしている。住宅価格の下落でローン残債が住宅価格を上回り、持ち家を手放さざるを得なくなった世帯が増加したことがその主たる理由だ。

こうした持ち家から貸家へとシフトした世帯は年間収入が10万ドル以下の低・中所得層が主体で、既に住宅バブル以前の2005年から2009年にかけて持ち家率は低下している。

そこにサブプライムローン問題やリーマンショック以降の貸し出し基準厳格化が加わり、その貸し出し基準が現状でも緩和されていないことに起因している。