リーダーの役割

リーダーとは、ただ人をひきつけるだけではなく、具体的にチームの意識共有や目標達成までの道筋の提示を行い、与えられた任務を遂行する役割です。結果はもちろんのこと、同時にチーム全員のモチベーション維持や、個々の成長も考えなくてはなりません。優れたリーダーに求められる 5 つの要素についてまとめてみました。


1. 明確なビジョンを提示し、チーム全員のモチベーションを高める

プロジェクトの内容や目標、そして達成のための道筋、リーダーにはまずそれらを明確に提示する能力が求められます。そのためには、過去・現在・未来という時間軸と、人材や能力、資材、費用などの物理的な軸の両面からビジョンを描くことが大切です。

過去のどういった実績を元にプロジェクトが計画され、現在どういった状況なのか、そして未来のどこにゴールを置いているのか。具体的に、チームが共有できるようにしなくてはなりません。

そして、それぞれのポイントで誰がどういう役割をするのか、どれだけのマンパワーや資材・経費などが必要なのかも示すようにしましょう。そうすれば、一人一人が自分の役割や必要性を理解できます。チーム全員が「自分が必要とされている」と思えるビジョンを提示することが重要です。


2. コミュニケーション手段を意識して使い分ける

ビジョンを提示したら、次はそれ伝えるコミュニケーション能力が必要です。「なぜこのプロジェクトを行うのか」、「それによって何がもたらされるのか」、それをチーム全員に伝えなくてはなりません。ポイントは、全員に同時に伝える際と、個別に伝える際には、コミュニケーションの方法が違うということを意識する点です。

ミーティングなどで全員に内容や目標を伝える際には、できるだけシンプルで分かりやすい言葉を使うこと、簡潔にまとめることを心がけましょう。誰にでも分かること、そしてリーダーの熱意を伝えることが大切です。

その上で、個別のコミュニケーションでは、細かく「なぜこの仕事に君が必要なのか」を伝えましょう。ここでは感情的な熱意よりも、論理的に「君の能力がこの役割に適正である」、「この役割によって、君の成長の可能性がある」などの具体的な点を強調しましょう。


3. 信頼を得るためのブレないポジショニング

チームの人間に「ついていこう」と思わせるには、リーダーのポジショニングがブレないことが大切です。そのために最も重要なのは、誠実さだと言えるでしょう。

個々の人間には性格の違いがあり、全員と合わせることは難しいものです。しかし、優れたリーダーはそれを切り離して全員の仕事に対し誠実でなくてはなりません。

具体的には、チームの和を重んじる、成果は自分のものではなく全員のものだと認識する、おごらない、客観性を持つ、特定の部下に肩入れしない、といった中立性です。リーダーが常にブレずにいることが、チーム全体の協調性向上にもつながります。


4. リーダー自身が創造的・挑戦的であること

成長しようとしないリーダーに、「成長しろ、挑戦しろ」と言われてチームの人間はついて来るでしょうか。自己の成長のために研鑽を怠らないことも、優れたリーダーの条件です。そのためには、自分の長所と短所を理解し、長所をさらに活かす方法と、短所を補う努力を考えることが大切です。

また、リーダーが創造的・挑戦的であれば、チームの人間も創造的なアイディアを出しやすくなります。逆にリーダーが保守的だと、せっかく部下が新しいアイディアや能力を持っていても、それが活かされない場合があります。まずリーダーが、失敗を恐れない姿勢を持つことによって、他の人間もその姿勢を持つことができるのです。


5. 部下の長所を伸ばす育て方を意識する

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじ」という、山本五十六の言葉にもある通り、褒めて長所を伸ばしていくことは、人を育てる上で非常に大切です。この言葉には、部下を育てる時の基本プロセスが詰まっていると言えるでしょう。「手本を見せる」、「説明し、また部下の疑問に答える」、「実際にやらせる」、「結果がどうあれ、その部下の仕事の中から長所を見つける」、こうしたプロセスです。

もちろん、時には叱る必要もあります。しかし、それも基本の育て方がしっかりとしていなくては、部下には受け入れがたいものとなってしまいます。相手の長所を見つけることは、優れたリーダーには欠かせない能力だと言えるでしょう。


よりよいリーダーシップのために

チームの大小に関わらず、常にリーダー自身も成長と自己確認を意識することが大切です。自分の資質と 5 つの条件を照らし合わせ、よりよりリーダーシップについて参考にしてみてください。

(提供: Vortex online

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