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(写真=PIXTA)

◆昨日は、米1QGDPは前期比年率-0.2%と予想通りだったが、マイナス幅が小幅だったことを再確認するとドル/円は124.38円へ続伸した。

もっとも、ユーロ圏財務相会合で早期合意期待が後退すると米中長期債利回りと共に124円割れへ反落した。結局、6月10日の黒田総裁発言後に124円台半ばが天井になったことが再確認されたかたちとなった。

◆一方、ユーロはギリシャ関連材料に殆ど反応がなく、1.12ドル丁度を挟んだ小動きだった。月末までに最終合意に至るというシナリオ自体は崩れていないようだ。

◆本日は、米コアPCEデフレータ、Fed高官発言(Tarullo理事、Powell理事)とギリシャ問題を巡るユーロ圏財務相会合再開とEU首脳会合の開催が予定されている(明日まで)。

ドル/円では出遅れているコアPCEデフレータが更に低下しないかが注目されるが、124円台半ばの天井感が強くなる中で、下振れた場合の下落リスクに注意が必要だ。


昨日までの世界:「黒」天井が明確化

ドル/円は、欧州時間まで124円丁度を挟んだ小動きに終始した後、米1QGDP確報値が前期比年率-0.2%と予想通りだったが、マイナス幅が小幅だったことが再確認できたほか、米景気のけん引役たる個人消費が+2.1%へ予想以上に上方修正されたこともあって、好感されたとみられ124.38円へ続伸した。

もっとも、ユーロ圏財務相会合でギリシャ支援問題について前提となるギリシャの改革案が不十分とされ、早期合意期待が後退すると米中長期債利回りと共に反落、124円を割り込んだ。22日にギリシャが提出した改革案に対し、不十分として債権者側が対案を出したが、ギリシャが呑めない内容だったようだ。

結局、6月10日の黒田総裁発言後に、米FOMC前の高値が124.45円、昨日の高値が124.38円と、124円台半ばが天井になったことが再確認されたかたちとなった。

ユーロ/ドルは、結果的には1.12ドル丁度近辺で小動きだった。欧州時間にかけては、ユーロ圏財務相会合でのギリシャ支援問題に関する合意への期待からか1.12ドル台へ強含みとなった。

その後、ギリシャ支援協議の物別れを受けて1.12ドル割れへ軟化した。とは言え、ギリシャ株式、債券などの下落は限定的で、市場参加者が抱く月末までの合意シナリオ自体は崩れていない模様で、ユーロの反応も限定的なものに留まっている。

ユーロ/円は、ユーロ/ドルと同様に欧州時間にかけて138円台前半から139円乗せへ強含みとなった後、ドル/円、ユーロ/ドルの小反落を受けて138円台後半へ小反落した。

豪ドル/米ドルは、0.77ドル台半ばで上下した後、米1QGDP最終推計値発表後の米ドル高を受けて、一時0.7683ドルへ下落した。

豪ドル/円も豪ドル/米ドルと同様の動きとなり、96円丁度前後で推移した後、95円台半ばへ軟化した。


きょうの高慢な偏見:上がらないなら、下がる?

ドル/円は、他の経済・インフレ指標から出遅れているコアPCEデフレータが更に低下しないかが注目される。前月および市場予想(前年比+1.2%)を上回れば年内2回の利上げの可能性が高まり、再び124円台定着を試す展開となりそうだ。

もっとも、124円台半ばの「黒」天井感が更に強まる中で、市場予想を下回り鈍化する場合のドル安円高の動きが大きくなるリスクが高まっている。

ユーロ/ドルは、ここ数日のギリシャ支援問題の合意に向けた期待感の高まりにも拘らず上値が重い一方、昨日の合意遅延でも下がらず底堅さも確認されるなど、ギリシャ関連材料でも動きにくくなっている。積極的なポジションテイクが抑制されているのかもしれない。

豪ドルも、対米ドルで安値圏で推移しているものの方向感がなく、本日も豪州や中国の材料がない中で、米ドル相場の動向に左右されやすい状況が続きそうだ。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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