企業の合併・買収(M&A)の支援を行うM&Aキャピタルパートナーズ <6080> が、東証一部上場を記念して 「経営者のためのM&A活用セミナー」を6月24日に開催し、M&Aを一つの選択肢に位置付ける経営者を対象に、その実態を解説した。

昨今では、経営者の高齢化が進む中、事業承継の方法の一つとしても注目されており、M&Aの応用例も増えているという。1990年代前半には年間で500件前後だったM&Aの件数も、2006年には3000件に迫る勢いを示しており、今後も経営者たちの選択肢として存在感を示していきそうだ。

そうした流れを踏まえて、M&Aキャピタルパートナーズの中村悟代表取締役社長が 「経営者のためのM&A活用セミナー」で行った講演の内容を、「後継者問題への処方箋—M&Aの神髄とは?」に引き続き、お届けする。


本人を苦しめかねない子供への事業承継

中村社長によれば、M&Aについての同社への問い合わせでは、企業や事業を取得したい企業からの問い合わせ数が、売却したい企業からの問い合わせの5倍にも上るという。別の言い方をすれば、M&Aを上手く活用して、自社の成長を図りたい企業が数多く存在するということだ。

他方で、事業承継においては、M&Aを活用しきれていないという声も一部にあり、中村社長もその点を指摘する。以下が、同社長の講演内容だ。

中村社長:M&Aの買い手はいる。ならばどうして、事業承継のプランとしてM&Aの活用が進んでいかないのだろうか。このM&Aによる事業承継についてはいろいろと悩ましい問題があり、調査でも指摘されて、明らかになっている。

具体的には、一部の調査によれば、事業承継が経営問題のひとつだと認識している経営者は86%に上る。一方で、実際に承継問題の解決に向けて、何らかの施策を実行に移している会社は32%しかないことがわかっている。つまり、問題を認識していても、現実に行動を起こすことの間には54%のギャップがあるということだ。