年金
(写真=PIXTA)

現代の日本人のほとんどは、老後の生活になんらかの不安をもっていると言います。公的年金制度から受給できる年金は、今後縮小していくことが予想されていますし、高齢化の進行で介護費用も高くなることが予想されます。そのような時代状況の中では多くの方が、公的年金以外の手段で老後資金を形成しなければなりません。その手段としては、預貯金、個人年金、株や債券・投資信託などへの投資などがありますが、不動産への投資に大きなメリットがあることはあまり知られていません。なぜ不動産投資がいいのでしょうか?今回は不動産投資を用いた自分年金作りの方法についてご紹介します。


老後必要となる資金は1億?

そもそも老後資金にはどのくらいの額が必要になるのでしょうか。生命保険文化センターによる調査では、老後の夫婦2人での生活資金は、最低22万円/月と試算しています。これに趣味、旅行などゆとりある生活をプラスして考えると35.4万円/月が必要であるという調査結果が出ています。22万円と考えれば、1年間で「264万円」、10年間で「2640万円」、仕事を引退してからの人生が25年間あるとすれば「6600万円」にもなります。これが最低の必要資金で、ゆとりある生活をしようと思えば、年間「424万8000円」、10年間で「4248万円」、25年間で「1億620万円」にもなります。

しかし会社員ならば国民年金と厚生年金、公務員ならば国民年金と共済年金、自営業者ならば国民年金には最低でも加入しています。現行の制度ならば65歳以降は毎月年金を受け取ることができますが、どのくらいの額が受け取れるのでしょうか。受給できる年金額は人によって大きく異なりますが、厚生労働省の調査によると、国民年金の平均受給額は「5万4544円」、厚生年金の平均受給額は「14万5596円」となっています。会社員ならば約20万円を毎月受給できるということです。企業年金などに加入してればさらに上乗せして受け取れます。そう考えれば、老後の最低必要資金と言われる22万円はほぼ年金制度だけでまかなえるかもしれません。

毎月の年金が20万円とすると、1年間で240万円、10年間で2400万円、25年間で6000万円です。老後資金を1億円とすると、自分で準備しなければならない資金は大体「4000万円」ということになります。

ただこれは現行の制度上の額であり、現在の現役世代が引退する頃には、年金受給額がここから減額されている可能性があります。4000万円という額は最低準備しなければならない額と考えましょう。

そこで多くの方は預貯金や個人年金保険を活用して、自分で資産を形成しようと考えます。しかしこれらの手段では効率よく資産を増やすことができません。預貯金ならば現在の金利は0.02%程度で、景気が上向いて低金利政策が縮小されない限りは、この低金利が継続します。この低金利では資産を増やす効果はまったくありません。仮に4000万円を現役時代の30年間で貯めようと考えれば、毎年約133万円=毎月10万円以上を貯めなければなりません。普通の会社員が家族を養いながら毎月10万円以上貯蓄するのは、なかなか難しいです。

そこで一部の方は、株や国債・社債、投資信託などの金融資産に投資することで資産を増やそうと考えます。金融資産への投資は、確かに効果的です。しかし金融資産への投資ならばキャピタルゲインが中心となることが多く、老後資金の準備、自分年金の形成という目的から考えると、安定性に欠けるところがあります。そこで安定的に収入が得られる不動産への投資という選択肢が浮上してきます。不動産投資にはどのようなメリットがあるのでしょうか。


不動産での自分年金作り

全てを貯蓄で老後資金を作るという選択肢には無理があります。しかし毎月20万円の年金が受給できるとすると、15万円の収入が老後もあれば「ゆとりある老後資金」の基準である毎月の35万円が達成できるということになります。そのためお金を貯めてそれを切り崩すのではなく、新たにお金を生み出す「自分年金」の仕組みをつくるのです。「貯めたお金を切り崩す」場合と「新たにお金が得られる仕組み」とでは大きな違いがあります。

年金の予想受給総額と必要資金との差額である4000万円を、貯蓄や退職金で準備することができたとします。しかし引退してからは年金の受給で足りない分をここからどんどん使っていくことになります。65歳時で4000万円あっても、毎月15万円使えば70歳の時には残高3100万円、75歳時には残高2200万円、85歳時には残り400万円になります。高齢になるに連れて貯金が少なくなっていくのはとても不安ですし、高額な医療費や介護費用が必要となったときに用意できないかもしれません。

しかし不動産所得が毎月15万円以上あれば、貯金が減っていく不安はありませんし、新たに資産を形成することも可能です。また引退する前から不動産所得を得ることができれば、貯蓄するよりもはるかに効率的に資産を増やすこともできます。つまり不動産投資には「老後資金をはやく形成する」メリットと「老後も継続してインカムゲインを得る」という2つの大きなメリットがあるのです。


不動産投資での資産形成のケース

不動産投資が貯蓄に比べて有利な点は他にもあります。不動産投資は借入を用いて自己資金以上の投資ができるため、より多くの資産を形成できるのです。例えば4000万円の物件を自己資金1000万円、借入3000万円で購入したとします。ローンの期間は20年、金利は年3%、毎月の家賃収入が20万円と仮定します。この条件では、毎月の返済額は元利均等払いで約17万円弱となりますので、差額の3万円強から経費や税金を引いた額が手元に残ります。

40歳のときのこの物件を購入したとすると、60歳のときまでにローンは全額返済します。その後はローン返済の必要のない物件が手元に残り、そこからは純粋に不動産所得を得て、まさに「自分年金」とすることができます。


自分年金として不動産投資を行なうには

もちろんこれはうまくいった例であって、実際には不動産投資にも多くのリスクがありますし、損失が出ることもあると思います。そこでおすすめする投資方法は、まず金融資産と不動産に分散投資すること、そしてできれば複数の不動産に分散投資すること、の2点です。分散投資の重要性は言うまでもありません。株式投資でも複数の銘柄に分散して投資し、リスクをできるだけ少なくします。しかしときには株式相場全体が大幅に暴落し、複数の銘柄に分散投資していても損失を被ることがあります。また不動産についても、不動産投資のみを行なっていると不動産市場が低迷したときに収入が得られず、ローンだけが残るという事態も考えられます。そこで金融資産と不動産へ資産を分散させて、リスクを軽減させるのです。

さらに自己資金を4000万円持っていれば、4000万円全てを1つの物件に投資するのではなく、1000万円ずつ4件の物件に少額分散投資させ、不動産投資固有の「家賃下落リスク」「滞納リスク」「空室リスク」などのリスクを軽減するのです。不動産投資を「自分年金」として安定的にインカムゲインを得る仕組みとするならば、このようにリスクをできるだけ分散させる工夫が必要となります。(提供: Leeways online )

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