iPhone
(写真=The Motley Fool)

iPhoneの新機能、「3Dタッチ」のサプライヤーである米アナログ・デバイセズ。市場は同社に極めて強気の見方を示している。

予想されていた通り、米Apple <NASDAQ:AAPL> のiPhone最新機種、「6s」と「6s Plus」の一番のセールスポイントは恐らく「3Dタッチ(感圧タッチ)」だ。同技術により、ディスプレーに感圧センサーが搭載されたことで、多くの新しい操作方法が可能となった。近年、Appleの部品サプライヤーへの投資が人気の傾向にあることを考えると、投資家が米アナログ・デバイセズ(ADI) <NASDAQ:ADI> に注目する価値があるかどうか検討するのは当然の成り行きと言えよう。小規模アナログ半導体メーカーである同社が、3Dタッチディスプレイを制御するMCUを独占的に供給すると報じられているからだ。


アナログ・デバイセズ株は買いか?

市場は今まさにこの質問の答えを見つけようと躍起になっている。調査会社ブルーフィン・リサーチ・パートナーズが今年8月に発表した推計によると、3Dタッチ関連の収益は2016年9月期に総額5億ドルに上る見通しだ。同調査会社によると、ADIは同社の優れた技術に対価を支払う顧客を見つけるのに苦労していたが、Appleが条件にちょうど合致したという。

数カ月前にiPhone 6sと6s Plusの生産が本格化し始めた可能性が高いことを考えると、ADIが第3四半期(4-6月期)に8億6300万ドルという記録的な売上高を達成したことは当然の成り行きと言える。また、この好業績が何によるものかもかなり明白だった。

ADIによる米証券取引委員会(SEC)への届出書
(出所=ADIによる米証券取引委員会(SEC)への届出書)

表を見ると、コンシューマ―機器の売り上げが飛躍的に伸びたことが一目瞭然だ。ADIは四半期決算発表でAppleに言及する際には、やむを得ず曖昧な表現を使っていたものの、どの企業を指しているかはかなり明らかだった。以下はADIの最高財務責任者(CFO)、デイビッド・ジンスナー氏の発言だ。

「さて当社は我々の精密技術をすべてのエンドマーケットや顧客に利用していただくように図っております。次の四半期は、ある特定の製品により、こうした当社の技術に対する需要が高まりますが、この製品は当社のある顧客が独自に製造するものです。多くの場合、当社はその顧客と協力しながらこの技術を同顧客のニーズに合わせたものにカスタマイズしていきます。当然ながら、別の企業に同技術を提供することはございません。」

第3四半期のADIの業績は予想を上回る結果となったが、同社はさらに次の第4四半期に関しても明るい見通しを示した。同社の予測では、第4四半期の売上高は8億8000万ドルから9億4000万ドルに上る見込みだ。これはコンセンサス予想の8億7600万ドルを完全に上回っている。


相次ぐ強気の投資判断

ADIのこうした好調な業績を受け、投資銀行サントラスト・ロビンソン・ハンフリーは同社の投資判断を「買い」に格上げ、目標株価も68ドルから71ドルに引き上げた。同投資銀行は、3Dタッチが今後数四半期にわたりApple製品で多用されるとみており、ADIの売上増に大きく貢献するだろうと考えている。

Appleは革新的な新技術を採用する際、まずは主要な1製品に導入し、その後他の製品にも導入する傾向があることを鑑みると、これは至極妥当な推測だ。通常、同社は最初にiPhoneで新技術を採用することが多いが、今回はフォースタッチ(感圧タッチ)をiPhoneに先立ち、Apple Watchや新型MacBookで導入した(なおADIはこの両製品の半導体チップも供給している)。同技術が次はiPadにも導入されることが十分予想できる。もちろん、同技術をiPadのような大きな画面で採用するには少し時間が必要かと思われるが。

RBCキャピタル・マーケッツもまた、ADIの投資判断を「アウトパフォーム」に、目標株価を70ドルとしている。

Appleは3Dタッチを今後多用していくと考えられるため、市場はADIについておおむね楽観的な見方をしているようだ。当面の間は、ADIの収益拡大にAppleが大きく貢献するだろう。また、ADIは膨大かつ多様な顧客基盤を築いていることも同社の強みだ。サプライヤーがAppleに依存し過ぎるとよくないことは、皆さんがご存じのとおりだからだ。

エヴァン・ニュー(提供: The Motley Fool

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