ユニクロが覇権を握った背景には、従来型のアパレル会社のマーケティング手法に、消費者が辟易していた面があったのではないか、と河合氏は指摘する。作り手の意向でデザイン性や装飾性が増えると、それは売価が上がることを意味する。そのようななか、生活のイメージを訴えて顧客を獲得したのが無印良品だった。ユニクロは商品自体、つまりSPAというビジネスモデルを売って顧客を獲得した。

同じように、かつては低価格帯の服は郊外で売る、というマーケティング論が主流であったが、ユニクロは銀座をはじめ一等地に出店して結果を出している。河合氏によると、都心店舗の売上が好調で、顧客も、実は可処分所得に余裕がある層が多いという。そうすると、この度の「ユニクロ アンド ルメール」でブランド化を推し進めるのは、ごく自然な流れであるように見える。

ユニクロルメール

( 「ユニクロ アンド ルメール」ニットで2990円〜1万2990円。パンツで2990円〜6990円 )

「しかし、ここで難しいところがあります。デザイン性やファッション性を持つ海外ブランド服が、はたして同じ売り場で売れるのか、という疑問が出てきます。ブランド服は、例えば三越で包んでもらいたい、と思う人は多いでしょう。ユニクロの海外ブランド化路線が提案する、洗練されたデザインと買いやすい価格は、一定の顧客には認知されると思いますが、それが例えば伊勢丹が培っているブランド販売のスキームをくつがえすことができるかは、極めて疑問です」

「それはつまり、ユニクロの論理が消費者にしっかりと伝わっているのか、という話になるでしょう。柳井氏のロジックは正しい。次は、そのロジックを持って売り場で消費者とコミュニケーションができるかどうか。いつも、徹底的に消費者の方を向いている柳井氏であれば、それは可能なことでしょう」

海外ブランド服を適正価格で販売する、ユニクロのチャレンジは消費者にとっては嬉しいことだ。「ユニクロ アンド ルメール」はシンプルなデザインなので、買い足しや着まわしがしやすそうなところも魅力。ユニクロの海外ブランドとのコラボ路線は、はたしてどう出るか。これからも注目していきたい。(ZUU online 編集部)