ページフェア
(写真=HPより)

ネット広告の表示を遮断するためのプログラム、通称「広告ブロック」が話題になっている。デジタル・ニュースの出版社にとって、広告が遮断されてしまうのは死活問題にもなりかねない。

今月5日から7日、独ハンブルグ・メッセで開催された「世界出版エキスポ」(WAN-IFRA=世界新聞・ニュース発行者協会=主催)では、このトピックが複数のワークショップやイベントで話題に上った。WAN-IFRA(本部はパリとフランクフルト)は、世界120カ国のメディア企業約3000社が会員となっている組織だ。


調査会社の担当者に現状と対処方法をインタビュー

広告ブロックの状況に詳しい調査会社「ページフェア」のジョニー・ライアン氏もパネリストの1人として、いくつかのセッションに参加した。会場内で、ライアン氏に広告ブロックの現状と対処方法について聞いてみた。

——「ページフェア」とはどんな会社か

アンチ・広告ブロックの会社だ。広告を遮断されたことで打撃を受けた複数の出版社が設立した。毎年、広告ブロックの状況についてレポートを発表している。

——広告ブロックの現状は?

広告ブロックによって、今年1年で220億ドル相当の損失が発生する。9月にAppleがiPhoneやiPad向けのOS「iOS9」を公開してから、広告ブロックアプリのリリースに拍車がかかっている。iOS9用のブラウザーソフトが広告ブロック機能に対応する形で設定されているためだ。

世界中で広告ブロックのサービスを使っている人は1億9800万人ほどになる。過去1年で広告ブロックの利用は世界中で前年比41%拡大している。

国別では、米国では今年6月までの1年間で4500万人が利用し前年比48%増。英国では1200万人で何と82%増だ。ネット利用者の中の割合でみると、欧米で多い傾向にあるが、日本はまだ2%ほどと低い。