(写真=PIXTA)

不動産取引では、賃貸や売買を問わず消費者が持つ情報が圧倒的に少なく、不公平で不透明だという見方が強かった。近年、金融とITを融合させた「FinTech」や教育との融合である「EdTech」などに続き、不動産とITとの融合「Real Estate Tech」に注目が集まっている。

「Real Estate Tech」の流れは米国から

全住宅市場に占める中古住宅戸数の割合は日本では1割強という調査結果が出ている。中古住宅が約8~9割を占める米国、英国に比べると差は一目瞭然だ。このような理由は、資金不足と情報不足にあるとされている。そこで情報不足による格差を是正すると期待されているのが、不動産テクノロジー企業・サービス「Real Estate Tech」だ。

不透明で高い検索費用と取引成立まで長い期間を要する不動産に対して、不動産とITの融合によって、低コストで迅速な取引成立を可能にしている。オープンデータやビックデータを用いたこれまでの不動産業界では考えられなかった取り組みが行われている。

この流れは米国で2013年以降に急拡大している。日本では2015年5月に世界最大をうたう不動産見本市「MIPIM」が開催された。そこでは日本の「Digital Revolution」のセッションも開催。日本でもITとの融合に徐々に注目が集まっていることを伺わせる。日本でも近年、データをオープンにする動きが出てきており、国土交通省の不動産取引価格情報や不動産価格指数の公表など情報基盤が整備されつつある。