imasia_4059911_S (写真=PIXTA)

11月の日本株相場は、外部環境の落ち着きが株価を下支えしようが、企業業績の先行き懸念が重しとなりそうだ。日経平均株価の予想レンジは1万8000円~1万9800円を想定している。また、今後6ヵ月間程度の見通しとしては、世界景気の減速・円安効果一巡による来期業績の下振れ懸念が意識されるため、日経平均の2万円回復は困難とみている。同期間の日経平均株価は1万7000~1万9800円のボックス圏での動きとなろう。このため、レンジ下限接近場面で買い、レンジ上限近辺で売るという投資スタンスを徹底したい。


中国リスク後退などでリバウンド局面

8月から9月にかけて続いてきた世界的なリスクオフの動きが一巡し、世界の株式市場はリバウンド局面を迎えている。背景には①中国からの資本流出懸念一巡、②ECB(欧州中央銀行)の追加緩和観測の台頭、③中国の追加金融緩和の実施、などにより投資家心理が改善してきたことが挙げられよう。

とりわけ、世界経済のアキレス腱となっている中国情勢が落ち着きをみせたことは大きい。中国人民元のオンショア(中国国内相場)・オフショア(香港相場)スプレッドをみると、中国からの過度な資本流出懸念が落ち着きをみせ始めていることがみてとれる。同スプレッドは中国からの資本流出が加速した8~9月に急拡大したものの、その後の中国の資本規制などが効果を上げているもようであり、足元で同スプレッドは大幅に縮小している。中国リスクの後退などにより投資家は再び株式などのリスク資産に資金を振り向けやすくなったといえよう。


企業業績の先行き懸念が上値圧迫要因に

一方、国内では政府・日銀の政策に対する期待感が徐々に高まっている。投資家が固唾をのんで見守った10月30日開催の日銀金融政策決定会合では、市場の一部で期待が高まっていた追加緩和策の発表は見送られた。「追加緩和見送り」を受けて一時的に株価が下げる場面もあったが、その後、すぐに持ち直しの動きをみせるなど、市場は今回の日銀の決定を比較的冷静に受け止めた格好だ。

背景には今回追加緩和が見送られたとしても、先々日銀が追加緩和に踏み切る期待が市場で意識されていることが挙げられよう。11月16日には7~9月期のGDP(実質国内総生産)の発表が予定されているが、4~6月に続き7~9月期もマイナス成長となれば、18~19日に開催される日銀金融政策決定会合で日銀が動くとの思惑は根強い。

また、政府が総額で3兆円を超える規模の2015年度補正予算を検討しているとの報道も日本株の下支え要因として意識される。そのほかでは、11月中に示される見通しである「一億総活躍社会」実現に向けた具体策にも注目が集まろう。足元でアベノミクスに対する懐疑的な見方が強まりつつあるだけに、政府・日銀の政策が再び動き出せば、市場は素直に評価する流れとなりそうだ。

もっとも、11月中旬にかけて行われる3月本決算企業の中間決算発表で、輸出企業を中心に先行き業績の不透明感が強まるとみており、日本企業の業績懸念が中期的な日本株相場の上値圧迫要因になるとみている。