先週、先々週と、米Forbes誌より発表される世界長者番付(10億ドル以上の資産を持つビリオネアのランキング)をもとに、その番付順位の移り変わりから、億万長者の世界の変遷を探ってみようという記事を掲載させて頂きました。

【参考:その他の億万長者ランキングはこちらになります。】

2013年版フォーブス億万長者トップ30[世界編]~バフェット氏の連続記録止まる~
2013年版フォーブス億万長者トップ20[国内編]~ランキングが語る栄枯盛衰~
この20年、億万長者の世界にはどんな変化があったのか1/3
2002年、グローバル化とIT革命が生んだ大富豪〜この20年、億万長者の世界にはどんな変化があったのか2/3〜
2012年、躍進する新興国とネット企業〜この20年、億万長者の世界にはどんな変化があったのか3/3〜
90年代、3つのバブルに揺られて〜この20年、日本の億万長者の世界にはどんな変化があったのか?1/2〜
いつかは来るバブルの終わり、その時資産を残す人と無くす人の違いとは?〜この20年、日本の億万長者の世界にはどんな変化があったのか2/2〜
中国でのビリオネアや富裕層の最新事情

大変ありがたいことに、面白かったという感想も頂けましたので、その続きとして今回は日本の億万長者に絞って、その変遷を追ってみたいと思います。

この記事を書くにあたり、過去の番付やニュースなどの情報を引っぱりだして、日本の億万長者の変遷を追ってみたのですが、日本経済の特質や時代の変化が色濃く現れており、とても興味深いものでした。
そして、億万長者に限らず、多くの人がこれからの時代を生きていく上で、とても参考になるヒントが隠れていたのです。

今回はランキングは、前回よりも細かく92年から5年単位で、番付の上位10名を掲載してお送りします。
ぜひご覧ください。

【1992年の日本長者番付けTOP10】
順位 名前 所属 業種 資産(億円)
1 森泰吉郎一族 森ビル 不動産 1兆6900億円
2 堤義明 西武鉄道 不動産 1兆3000億円
3 竹中錬一一族 竹中工務店 建築 4420億円
4 大谷米一一族 ホテルニューオータニ ホテル 4290億円
5 糸山英太郎 新日本観光業 ゴルフ 4160億円
6 岩崎與八郎 岩崎産業 不動産・観光 3900億円
6 小林林二 泉南カントリークラブ ゴルフ 3900億円
6 村田純一 村田機械 産業機械 3900億円
9 伊藤雅俊 イトーヨーカ堂 小売り 3250億円
9 大塚正士一族 大塚製薬 製薬 3250億円
9 武井保雄一族 武富士 消費者金融 3250億円
9 山口久吉 大和製罐 製造 3250億円

まずは、バブル終盤の1992年から。
上位2名の森氏と堤氏は、資産額が1兆円越えと、バブルの期の日本経済の強さを感じさせます。
この20年、億万長者の世界にはどんな変化があったのか1/3 でも触れましたが、この頃は日本経済の絶頂期でもありましたので、国内番付に限らず世界長者番付内でも、日本の勢いは凄まじいものがありました。

前年の1991年は"世界"長者番付TOP10の内5名は日本人。またその1位も1987年から1994年までは日本人の独占です。

上の表に出ている方の特徴ですが、森氏のようにご自身で起業された方か、堤氏のように相続で継承された方かの違いはありますが、ほぼ皆様企業オーナーです。そして9位の方が3名いるので、全11名なのですが、その内6名の方が不動産、ゴルフ場、ホテルなどのバブル関連業種というのが、時代を感じさせますね。
12位以下の日本人ビリオネアの方々の中にも、不動産関連の方が多くいらっしゃいます。しかしその方々の多くが、92年以降の景気の悪化と、土地価格の下落に伴い、徐々に順位を下げられたり、番付から去っていくことになりました。