(写真=PIXTA)
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「年収は高いのに、貯金はゼロ」というフレーズを耳にしたことはないだろうか。例えば、世帯年収が800万円もあれば、世間一般的には経済的に余裕のある層に区分される。年収400万円という家庭も多い中、その2倍の収入があるのだから、豊かな生活ができる上、貯蓄も充分できるはず…。

しかし、実際には年収が800万円でも生活はギリギリ、貯金なんて全くできないという家庭が多いのだ。「世帯年収800万円の家庭は、最もお金を貯められない層」とまで言われている。収入は充分あるはずなのに、なぜそうなってしまうのだろうか。「共働きで世帯年収800万円」の家庭が陥りがちな「貯金ゼロ」の背景や、家計の修正ポイントを確認してみよう。

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「買えてしまう」ことが招く家計の落とし穴

共働き・世帯年収800万円家庭が、収入の割に貯蓄ができない最も大きな要因としては、経済的に余裕があるからこそ、全ての項目にお金をかけ過ぎているということが挙げられる。平均的な収入の家庭や低所得の家庭であれば身の丈に合った買い物をするところだが、「買えてしまう」からこそ、少しいい物、少し高いものに手を出してしまいがちなのだ。

たとえば、家を買うにしても高額なローンが組みやすい。「自分たちは平均以上」という意識も手伝い、見栄を張って値段が高めのエリアの住宅を買ってしまう。この場合、まず住居費が高くなる。その他の出費をうまく抑えることができれば大きな問題はないのだが、近隣の生活水準に合わせて高い車を買ったり、子どもが小さいうちから私立に通わせたりすれば、固定費がかさみ家計はあっという間に火の車。また、住居費がそれほど高くない場合であっても、その分、高機能な家電を買ってしまったり、外食が多くなったり、衣類にかけるお金が高くなったりしてしまいがちだ。

2014年の「家計調査報告(家計調査編)」によると、この所得層の1か月の可処分所得は約47万3000円、生活費は約42万4000円となっている。比較的余裕のある生活ができるように思えるが、お金を使いがちで、支出にメリハリをつけないと貯蓄ができない所得のゾーンということになる。

また、この所得層は夫婦ともに正社員であることが多く、安定した給料が保証されていると信じてしまいがちでもある。特に、大企業に勤めている人がこうした心理に陥りやすい。「これからも必ず、今までと同じかそれ以上の給料が支払われ続ける」という安心感から、貯蓄を考えず収入を使い切ってしまうのだ。人より少し良い暮らしをしていれば見栄も張れる上、お金を使うことで夫婦共働きのストレスも発散できる。そうなると、実際の家計は自転車操業なのに、見て見ぬふりをしまうのだ。

収入が減ってもすぐには生活を変えられない

しかし、目先のことを考えずにお金を使い切る生活を続けていれば、最悪の場合、家計が破たんしてしまう危険性もある。特に危ないのが、収入が減った時だ。たとえば、子どもを授かったり、妻が退職したりと、働き方が変わるというケース。入ってくるお金が減ったのだから、その分支出も減らせればいいのだが、実際はすぐに生活水準を落とせないという家庭が多い。

元々固定費にお金がかかり過ぎていたとしても、削減ポイントがわからず、これまで通りの生活を続けてしまう。また、固定費がさほどかかっていない場合でも、浪費グセがついているため、収入ギリギリまでお金を使ってしまうのだ。

そして、これまでの生活を維持するために、キャッシングなどで不足分を補う人もいる。だが、「数万円だけ」という積み重ねが、後々大きな借金に繋がることさえあるのだ。