Japanese traditional style SAMURAI house / 稲葉家下屋敷(いなばけ しもやしき)
Japanese traditional style SAMURAI house / 稲葉家下屋敷(いなばけ しもやしき) / TANAKA Juuyoh (田中十洋)

今回は土地にフォーカスして相続税対策について解説してきたいと思います。

【参考】 今から学ぶ、最低限抑えておきたい自宅にかかる相続税


相続税で土地の評価額がどう算定されるのか?

相続税の対象となる資産のうちで最も大きなウェイトを占める不動産、特に土地が評価されるプロセスは複雑です。 相続税の節税効果が最も高い部分でもありますので、基本からしっかりと押えておきたいところです。 大まかに2つの方式に大別されます。


①路線価方式

主に市街地で採用されている方式です。 土地が面している道路ごとに1㎡当たりの単価が設定されていて、土地面積を乗じることにより相続税評価額を算定します。 路線価図は、所轄の税務署や国税庁ホームページ「財産評価基準書」で閲覧することができます。

ここで例えば「350c」という表記だとすると、その道路に面している土地の1㎡当たりの単価は350,000円ということになります。 後ろの「c」というのは借地権割合70%という意味で、対象の土地が借地の場合にはこの借地権割合を乗じて評価額を算定します。


②倍率方式

路線価が設定されていない郊外等では、この倍率方式が採用されています。 固定資産税評価額に一定の数値を乗じることで、相続税評価額を算定します。 この倍率は、路線価図と同様に税務署等で閲覧することができます。 地域によって差がありますが、たいていは固定資産税評価額の1~2割増という水準が多いようですね。

こうして求められた路線価評価額がそのまま用いられるわけではなく、土地の効用に応じて加算・減算が行われます。 例えば対象土地が角地である場合は、建ぺい率緩和等の効用増が期待できるということで、評価額が加算されます。 一方で間口が狭かったり奥行がある土地の場合では、利用効率が落ちると考えられるため減算が行われます。

このように土地の相続税評価額は一定の算定基準があるものの、場合によってはかなり下げることができます。 相続税納付額の基準となる土地の評価額を下げれば、大きな節税効果が期待できることが分かりますね。 ちなみに不動産であっても、建物の評価額は固定資産税評価額と同額ですので、課税明細書で確認しておくと良いでしょう。


大きな土地は広大地評価で評価減を狙う

不動産に関連した相続税が高額になるケースとしてよく見られるものが、都市部で比較的大規模な土地を持っているケースです。 先祖代々の不動産を所有してきた地主さんが亡くなって相続が発生すると、通常ではその土地に対して周辺の宅地並みの路線価がそのまま適用され、総額として莫大な相続税額となってしまいます。 しかし通常の土地取引では、広大な土地は宅地開発のための素地等として不動産開発業者が仕入れるため、普通の宅地と比較してかなり低い㎡単価で売買されます。

そのような実態を反映するために、相続税の財産評価では「広大地評価」と呼ばれる措置がとられています。 この広大地評価を用いた場合、路線価に対して補正率を乗じて評価額を算定します。 例えば5,000㎡の土地であれば補正率は0.35となり、通常の65%も評価減になります。 このように有効な節税対策となる広大地評価ですが、一定の要件を満たす必要がありますので、説明していきましょう。