営業,ビジネスマナー
(写真=PIXTA)

人気ビジネス書『世界トップ1%の聞く力』(牧野克彦著、KADOKAWA/中経出版)で著者は、営業に一番必要なのは「聞く力」だと説く。とかく業績やノルマを考えるととかくアピールや語りに入ってしまう営業担当者が多い中で、同書は「人をひきつける話ができる営業マンは、実は自分が話すこと以上に相手の話を聞くことに力を注いでいる」としたうえで、「不平不満を聞く力」「何が欲しいかを聞く力」など話の聞き方を5つの力にわけて解説している。

同書が人気を集めている背景には、「聞くチカラ」が注目されていることがある。

いや本稿では「聞く」ではなく「聴く」としたい。英語でいえば「聞く」は「hear」であり、「聴く」は「listen」。前者は「耳に入ってくる、聞こえる」といった意味であり、後者は「注意して、耳に入れようとして聴く」といった意味だ。まさにビジネスの現場で求められているのは、「相手に意識を集中して、『あなたの話を聴きます』」という姿勢なのだ。

ビジネスパーソンが支持する「アクティブリスニング」

相手の話を聴こうとすることがビジネスに役立つ--。こう考えるビジネスパーソンに支持されているのが、米国の心理学者カール・ロジャース氏が掲げる「アクティブリスニング」だ。

もともとはカウンセリングにおけるコミュニケーション技法であって、何もビジネス向けの理論ではない。だが十分、応用できると広く支持されているのだ。

この理論では、相手の言葉に傾聴する姿勢や態度、聴き方の技術の重要性を説いている。これを実践する上で重要な点は3つあり、第一に「心と行動が一致している」ことだという。つまり聴く気もないのに聴いているふりをしていてはダメだということだ。そして「どんな相手の行動や考え方も受け入れる」こと。自分の先入観や固定観念を取りはらい、相手の意見や思いを尊重することだろう。最後に「相手の立場に立って考えてみる」こと。相手を良く知り、どう考え、どういう思いを持ち、何をしたいのかを想像するべきなのだ。

こうした姿勢を取り入れることですぐに役立てられそうなのは、冒頭で挙げた著書でもいわれているように、人と話すことの多い「営業担当者」だろう。

営業担当者は、自社商品の良さ、サービスの優位性をに知ってもらおうと必死にプレゼンし、アピールしようとする。特に営業担当者には営業目標という名のノルマが課せられることが多く、そのプレッシャーからか、熱心な姿勢に拍車がかかり、それが逆効果になって相手の心が離れてしまうということもある。

だが営業担当者は、自分がアピールしたいことを伝える前に、目の前の顧客の「ニーズ」「問題」「不平・不満」に耳を傾けるべきなのだ。とにかく相手の話を聴くことで、顧客のニーズを知ることができるし、その過程でお互いに知り合うこともできる。結果として、効果的な解決策としての自社商品、サービスを提案できるのだ。

もちろん、十分に話を聴いた上で、必ず売り上げにつながるとは限らない。しかし、「とにかく売れればいい」とばかりにトーク術を駆使し、アピールして売ったところで、相手の問題解決や利益につながるとは限らない。

むしろ、たとえ「今回は御社には注文できない」という結果になったとしても、聴く姿勢を持って接したことでしっかりと相手と分かりあえていれば、「でも次はお願いするかもしれないから、また提案して欲しい」ということになるはずだ。そうした長期的な関係を築くためにも、「聴く」ことは重要なのだ。

聴く姿勢で部下に接するべき

ここで「自分は営業ではないから関係ない」と思ってはいけない。これは営業など顧客対応が必要な部署にだけいえることではない。社内で同僚とのコミュニケーションや部下への指示出し、フィードバックにおいても、「聴くチカラ」は重要だ。

特に部下を持つ上司であれば、「聴くチカラ」は存分に発揮したい。たとえばオフィス内で一緒にいる時間や面談などに、表情や動作まで観察するくらい、相手に神経を集中して接してみるといい。そして、とにかく相手の話を聴くことだ。そこで生まれる「理解されている」という安心感によって、部下も仕事が進めやすくなるし、期待に応えようという気持ちも生まれるはずだ。

昨今、求人市場においてもミドル層への引合いが増えているが、企業に求められる能力の一つとして、この「聴く力」があると言ってもいいのではないだろうか。人とのコミュニケーションは、どれだけ機械化、IT化が進んでも、どんな職場のどんな仕事にも求められる、必要不可欠な行為だからだ。

職場、ビジネスで求められる「コミュニケーション能力が高い」は、何も「誰とでも仲良くなれる」ことではない。「しっかりと相手の立場に立って話を聴き、その考えを受け入れ、想像し、寄り添うことができる」ことではないだろうか。(ZUU online 編集部)

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