富裕層,中国人
(写真=PIXTA)

中国で富裕層と言えば、一般的に年収200万人民元(約3400万円)以上で投資可能な資産が1000万人民元(約1億7000万円)以上の人たちを指す。

中国の招商銀行とベイン・アンド・カンパニーが発表した「2015年 中国個人財産報告」によると、2014年末時点で、中国大陸で1000万人民元以上の投資可能な資産を有する富裕層が100万人を超え、2010年末と比べ2倍になったという。

そして広東、上海、北京、江蘇、浙江などの地域に集中している。これらの富裕層は、いまどういう資産目標を持っているのか。どんな投資に関心を持つのか検証する。

中国人富裕層の資産目標

同報告によると、中国人富裕層の資産目標は、資産の安全保障、精神面も含めた資産の継承、子供の教育、更なる資産の創出、ハイクオリティの生活、個人・企業の更なる発展、慈善事業などが挙げられている。

一番の目標として挙がったのは「資産の安全保障」。その次に「精神面も含めた資産の継承」が注目されている。ほとんどの初代富裕層は、長年の努力で手に入れた富を二代目の子供にどう継承させるかについて非常に重視しているそうである。

ここでいう資産には、マネーなど金銭面のものもあれば、起業精神、結婚・恋愛観、教育理念、ビジネス哲学、家族の心理・姿勢、家族の礼儀・教養、複雑問題の対処に関する考え方など精神面のものもある。

激変する世界情勢の中で、わずか10年間20年間で急速に富を手に入れた初代富裕層は、ビジネスの世界で何が重要で富をどう創り出すか、などのマインド・ノウハウを自分の家族、子供(富豪の場合は「富二代」と呼ばれる)に学んでほしいという考え方が益々顕著になってきている。

中国人富裕層の投資地域

投資の安全保障や更なる資産の創出などの投資目標に合わせて、多くの人は、複数の領域で多元的な投資ポートフォリオを考えている。地域的には、中国大陸だけではなく、大陸以外の地域、特に香港、米国、カナダ、英国、オーストラリア、スイス、シンガポールなどへの投資が注目を集めている。

香港は地理的に便利で、サービスレベル、税政策、人材などの面も優れていることがあり、依然としてトップクラスの投資先となっている。

米国、カナダなどは、移民政策、子供教育、イノベーション環境などの面で人気を集めている。それ以外に、中国が提唱している「一帯一路(One Belt and One Road)」の本格化に伴い、「一帯一路」の沿線地域への投資が活発化している模様。

日本については、中国人「爆買い」のシーンが良くニュースに出てきているが、長年の経済低迷による需要の不振、コミュニケーション上言語のカベ、歴史問題による感情的な要素などで長期的な投資先としては、それほど熱ではないのは現実である。

投資領域 製造業への投資は控え目

いままでメインとなっている投資領域は、「Made in China」と掲げられたモノづくりの製造業、長年にわたり熱を帯びていまバブル崩壊とも危惧されている不動産、ジャック・マーなどスーパー億万長者も生まれたインターネットサービス、次々と新しいサービスが登場するインターネット・ファナンスなどが挙げられている。

しかし、世界経済の不安定、中国経済の減速、人件費の高騰などの背景のもとで、中国人富裕層の投資領域も変わりつつある。「Made in China」の伝統的な製造業への投資はいま控えめになってきている。

イノベーションが伴うテクロノジー・サービス、新しい消費スタイルを創り出すコンシューマ・サービス、人々の心身を豊かにするスポーツ・ヘルスケア・カルチャーサービス、ネットでお金を便利に増やすインターネット・ファナンシャル・サービスなどが人気を集めている。

ある上海の投資家は、「私の周りには、余裕のお金をどう使うか、と悩んでいる人が多い。製造業はこれから伸びるのは難しいと思う。株と不動産は行き先が不透明で良く分からない。私は試行錯誤を繰り返した結果、最近ベンチャー・キャピタル、プライベート・エクイティ、ヘルスケア、インターネット・ファナンシャル・サービスなどを試している。」と語っている。服装の生産・貿易で富を手に入れた彼は、浙江省にある服装生産工場の規模を縮小し、少しずつ新しい投資領域へシフトしようとしている。

様々な新しい選択肢のうち、スマホの普及や新しいサービスの登場に伴い、インターネット・ファナンシャル・サービスが急速に発展してきている。

サービスラインが豊富なうえ、スマホで簡単に利用できるメリットもあり、一般的な富裕層によく活用されている。中身としては、インターネット・バンキング、インターネット資産運用商品、スマート資産運用アドバイスプラットフォーム、P2Pインベストメント、クラウドファンディングなどが挙げられている。

富裕層の投資ネットワーク

中国人富裕層は、ほとんど起業家、企業経営者、投資家、専門家(弁護士・医師)であり、実業経営からの利益、資本市場での利益、不動産投資の利益、勤務先からのサラリーが主な収入源になる。ハイレベルの収入を獲得するには、様々なビジネスネットワークを持っているわけである。

人脈・リレーションをもっとも重要なビジネスリソースとして活用することにより、中国人は、製造業、不動産投資などの分野で、既にアフリカも含め世界の隅々までビジネスが広がっている。

“中国のユダヤ人”とも言われている浙江省のある温州人投資家は、「我々は世界中にビジネス的なネットワークを持っている。ビジネス情報のリアルタイム性、アイディアをアクションに落とし込むスピード感、そしてお互いに助け合ったり協力しあったりする団結力に誇りを持っている。」と胸を張って語っている。(ZUU online 編集部)

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