ビットコイン
(写真=Thinkstock/Getty Images)

「ビットコイン」と聞いて、あなたはどのようなイメージを持つだろうか。ビットコインと言えば、日本の取引所のひとつであった「マウントゴックス」が2014年2月28日に経営破綻。約12万7000人の顧客から預かった約82億円の資産が消滅し、仮想通貨に対する信頼性が大きく崩れた。ビットコインは何か怪しそう…そんなイメージを持たれる方もいるだろう。

ところが、世界的な規模で見るとビットコイン市場は大きく拡大し続けている。とりわけ、ここ数か月は急成長を遂げており、09年に登場してまだ8年にも満たない市場だが、利用者は世界で1200万人。仮想通貨の種類も、いまや600種類以上に達している。

そして、2016年3月4日、日本政府は仮想通貨の透明性を向上させるための法規制案を閣議決定した。これまで政府は、一貫してビットコインなどの仮想通貨を「貨幣」として認めず、法的には「モノ」として扱ってきた。それが一転して、仮想通貨は貨幣の機能を持つ「決済手段」のひとつと認められたわけだ。

そこで疑問になるのが、ビットコインが急速に拡大する背景にはいったい何があるのか。ビットコイン市場成長の理由を分析してみよう。

ビットコインに“資産価値”が認められる理由とは?

そもそもビットコインとは、仮想通貨のことで、円やドルと変わらない。主としてインターネット上で流通してきた「マネー」のひとつである。日本には現在7社の取引所があり、5万人が利用している。取引量も1日当たり約6億円に達しており、この3か月で3倍に増えたと報道されている。

ビットコインがここに来て大きく急成長を始めている背景には、次のような理由が考えられる。

①海外への送金が格安
ビットコインなどの仮想通貨は、通常の円やドルのような法定通貨に比べて海外送金の手数料が極めて安い。最低料金5円という取引所もある。しかも、24時間いつでも送金できるため、海外とお金のやり取りをしている人には非常に便利だ。

ちなみに、日本でビットコインを購入するには、スマホやパソコンから「bitFlyer(ビットフライヤー)」などの取引所サイトにアクセスして、名前やメールアドレスを登録。電話番号や免許証などの本人確認書類を用意して申し込む。仮想通貨を保管できる電子財布「ウォレット」を作成し、あとはクレジットカードや銀行口座からの送金で仮想通貨を購入する。簡単で手軽に開設できる。

②投資商品の代替品になる
ビットコインは、その時の「時価」によって売買されるのだが、言い換えれば金や為替と同じで投資商品にもできる。しかも、その価格は株式や為替など既存の伝統的投資商品とほとんど相関性がなく、投資の基本である「分散投資」の対象にしやすい。いわゆる「オルタナティブ(代替商品)投資」として注目され急成長しているのだ。実際、現在のビットコインの時価総額のうち5割以上は、ヘッジファンドや個人投資家が投資目的で保有していると言われる。

ビットコインのボラティリティ(変動幅)を株式や通貨、原油、トウモロコシなどのコモディティ、金と比較したところ、最も価格に連動性があったのは「金」とのこと。金が上がれば、ビットコインの価格も上がるということだ。逆に「負の関連性」があったのは「中国人民元」だ。ビットコインは歴史が浅いため結論付けるのは早いが、人民元が下がればビットコインが上がる。中国ではリスク回避の方法としてビットコインが幅広く使われていると言って良いのかもしれない。

③ビットコインの価格上昇
ビットコインそのものの価格はその時の情勢によって変動するが、最近の価格は大きく値上がりしている。実際、13年7月時点で1ビットコイン(BTC)=65ドル程度だったのが、2016年3月中旬で420ドル前後。3年弱で500%超の上昇率になっている。

ビットコインの「価格変動メカニズム」というのは大きく分けて2つある。ひとつは「需要と供給のバランス」だ。参加人口、参加企業が増えてビットコインに対する需要が高まれば価格は高くなる。ビットコインは、紙幣や電子マネーと異なり、発行上限が2100万個と決まっているからだ。

とりわけ、大企業の市場参入はビットコイン市場拡大の大きな起爆剤になる。すでに、DELL、ペイパル、マイクロソフトといった大企業の市場参入では、少なくとも短期的に価格は上昇した。

第2の価格変動要因は「投資規模の拡大」だ。ファンドや個人投資家が購入するようになり、投資商品として普及した場合は当然ながら価格は高くなる。金融危機などが起こり、金と同様に安全資産の代替商品として投資家に注目されればビットコインの価格も急騰する可能性がある。

④決済手段として拡大
かつてはオンラインショッピングや一部の飲食店で使える程度だったのが、最近では様々な決済に使われるようになってきた。最近では、ビットコインが使用できる店舗も飲食店、歯科医、ネイルサロンと大きく拡大しつつある。

仮想通貨のライバルともいえる「電子マネー」には「払い戻し」の機能がない。ところが、ビットコインは発行主体がないため、実質的に払い戻しが自由にできる。今後は「法定通貨」「電子マネー」「仮想通貨」の3つが決済として共存する時代になりそうだ。

可能性は無限?拡大する「ビットコイン市場」の未来

ビットコインには、大きく分けて二つの可能性がある。ひとつは決済機能としての利便性の向上だ。日本最大のビットコイン取引所である「ビットフライヤー(bitFlyer)」は、最近になってAmazonギフト券をビットコインに交換できるサービスを開始した。今後は、各種のポイントサービスもビットコインに両替可能になる可能性がある。電子マネーの一種である「ペイパル」と同じような存在になるのかもしれないが、前述したようにビットコインには「払い戻し=返金機能」がある。そういう意味では、電子マネーよりも大きな可能性があるともいえる。

もう一つの可能性は、投資商品としての可能性だ。通貨や株価などの動きに影響されないオルタナティブ商品として、あるいは金と同様にリスクヘッジ商品として、今後さらに注目されていくのは確実だ。とりわけ、金融とITを融合した「フィンテック」では、ビットコインがメイン商品になる可能性も指摘されている。無限の可能性を秘めると言われるビットコインを「危険」と言ってはいられない時代が来ている。