円高,利上げ,経済
(写真=Thinkstock/Getty Images)

7月の鉱工業生産指数は前月比0.0%(コンセンサス同+0.8%程度)と弱かった。5月は同-2.6%と、ゴールデンウィークの日並びがよく、工場が長期休暇で操業停止になったところが多かったとみられ、かなり弱かった。6月はその反動で同+2.3%と上振れた。

「一進一退」からの前進

経済産業省の生産の判断も「一進一退」から「一進一退だが、一部に持ち直し」へ若干だが上方修正されている。日本経済は、消費・輸出・生産ともに、底割れは回避した後、横ばいの動きになり、持ち直しに動こうとしている。

しかし、グローバルな景気・マーケットはまだ不安定であり、円高も進行してしまい、持ち直しのきっかけをまだつかめないでいる。6月の英国のEU離脱問題での混乱があり、先行きへの不透明感が強くなり、在庫の増加に対する警戒感もあり、7月の結果は経済産業省の予測指数である同+2.4%を大幅に下回った。7月の在庫指数が同-2.4%となったことにその警戒感が表れている。

実質輸出が6月の同+4.2%という強い結果の後、7月が反動で同-3.2%の弱かったのと整合的である。先行きへの不透明感は払拭されていないが、オリンピックに向けた耐久消費財の出荷の増加の中で生産の先送りが続いてきたため、8月の経済産業省の予測指数は同4.1%とかなり強くなっている。しかし、実際にはこれを大きく下回る可能性が高く、9月の予測指数は同―0.7%とまだ弱い。

「持ち直し」への前進は秋か

政府は大規模な経済対策を決定し、秋から徐々にその効果が内需に現れてくるだろう。グローバルな景気・マーケットの不安定感を各国の政策対応で乗り越え、先進国の堅調な成長がなんとか持続している間に、その好影響が波及して新興国が減速した状態から脱していくとみられる。

日本の輸出・生産の基調は強さはないが、緩やかな持ち直しへ改善していくとみられ、10-12月期には経済産業省の生産の判断は、「持ち直し」へ上方修正されるとみられる。

堅調な米国経済の動向を背景に、FED(連邦準備制度)の利上げ再開観測が強くなり、円高が更に進行するリスクは減じてきている。そのため、日銀の追加金融緩和は目先はなく、財政政策の効果を見守ると考える。

会田卓司(あいだ・たくじ)
ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部 チーフエコノミスト

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)