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(写真=The 21 online/内田篤人×326(ナカムラミツル))

絵本「ウッチーマン」で伝えたかったこととは?

ドイツの強豪チーム「シャルケ」で活躍する内田篤人選手。現在はケガのリハビリ中だが、海外での、そして日本代表としての活躍を心待ちにしているファンは多いことだろう。

そんな内田選手をモチーフにした、ユニークな「絵本」が発刊された。著名イラストレーターの326氏による『がんばれ!ウッチーマン』だ。この6月、一時帰国した内田選手と、作者である326氏との対談が実現。ビジネスマンにも大いに参考になる「メンタル管理術」「リーダーのあり方」についても話してもらった。

ヤジを聞くとむしろやる気が出る!?

326 内田選手の子供時代をイメージして書いた『がんばれ!ウッチーマン』。読まれてどうでしたか?

内田 最初はちょっと恥ずかしかったですが、有名な326さんに絵本化してもらえるのは光栄ですし、内容もすごく面白い。大人でも十分に楽しめますね。

326 それを聞いて安心しました! 元々内田選手のファンだったのですが、絵本を描くにあたって改めて映像や資料を見直して、ウッチーマンを「自分からはあまりしゃべらないけれど、行動で人を引っ張っていく」「何事も冷静に判断して、ダメなものはダメと言う」というキャラクターにしたのですが。

内田 そこも似ていると思いますよ。ちゃんと右膝を怪我しているのもリアルですし(笑)。

326 たとえばウッチーマンが悔しがっているときの表情は、ワールドカップで敗戦直後のインタビューのときの顔をイメージしながら描きました。あの時の表情は、実際に戦ってきた人でないと出せないと思ったからです。ファンの方なら多分、「ああ、あのときの表情だな」と思ってもらえるはずです。

でも、描いている間ずっと、どういう距離感を保つべきかが難しかったです。僕の「内田選手への想い」が出過ぎて、「気持ち悪い」と思われないかと(笑)。

内田 いやいや、そんなことはないですよ。それにしても、326さんの絵は僕が子供の頃に読んだものとまったく変わっていませんね。ちょうど10歳違うんですよね。初めて読んだのは小学生くらいだったと思います。

326 僕がデビューしたのは18、19歳の頃だから、そのくらいですね。

内田 この作品では、「みんなで夢中になれる」「諦めないことが大事」という、サッカーというスポーツの魅力を表現してもらえているのも嬉しいです。

326 元々、ヨーロッパサッカーを観るのが好きなんです。スカパーを契約しているので、ドイツとイングランドとイタリアの試合はいつでも観られます。

内田 そんなによく観ているんですか?

326 今はEUROをやっているので、なるべく外に出ずに観るようにしています。ほとんど引きこもり状態ですね。

でも、それだけに最初、「サッカー色が出過ぎでは?」と指摘されました。たとえば、この作品では最後にウッチーマンがゴールを決めるのですが、僕はむしろ、本物の内田選手のようにパスを出すほうにしたかった。ただ、編集さんからは「やっぱり主人公がゴールを決めないと」と言われてしまって……。

でも、内田選手のプレーの魅力は、見えないところでチームを支えるその姿勢。ライン際ギリギリでボールをスライディングで拾い、なんとかつなげようとする姿なんて本当にすごい。だからそのシーンだけは無理して入れさせてもらいました。ディフェンダーはフォワードに比べ目立ちませんが、世間はもっと注目すべきだと思います。

内田 はい、そうなんです。もっと言ってやってください(笑)。僕らはいわば、テレビに映らないところを走っているプレーヤーですからね。しかも、一番走らなくてはいけないポジション。

326 ニュースのダイジェストなどでは、まったくそのあたりが見えませんよね。だから生中継で見たほうがいいし、できればスタジアムで見たい。そうしないと、そのすごさはなかなか見えてきません。

内田 テレビで観るのとスタジアムでは、雰囲気も迫力もだいぶ違うと思いますよ。特に僕の所属するシャルケのサポーターは熱狂的で、毎試合6万人もの人が詰めかけます。正直、試合前にどうしてもモチベーションが上がらないときもあるのですが、満員のスタジアムに一歩入ると途端にスイッチが入ります。

あと、僕は敵サポーターからのブーイングやヤジを聞くと、むしろやる気が出るんです。敵からのブーイングはある意味、褒め言葉じゃないですか。

326 なるほど、そういう考え方もあるんですね! ところで、プレー中にヤジって聞こえるものですか?

内田 名前を呼びながら中指を立てている人の顔までしっかり見えますよ(笑)。僕はアジア人なのでよけい目立ちますしね。