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(写真=PIXTA)

織物、染色品、陶磁器、漆器、木工品、仏具、人形、和紙…日本が世界に誇る伝統工芸品の数々を熟練の技で生み出すのが、職人と呼ばれる人たちです。職人の多くは世襲制でしたが、昨今は少子化や高齢化により後継者の減少が問題となっています。一方、訪日外国人の増加などで世界的に日本の工芸品が注目され、若者たちが新たな方法で衰退していた市場を再生させる動きも出ています。

職人とその技術を保護し、次世代に引き継いでいくための国家資格制度もあります。そこで、職人育成支援の取り組みや職人になる方法などを紹介します。

後継者不足が深刻、一方で職人になりたい人も増加

職人とは、長い年月をかけて身につけた熟練技術を駆使して、特別な物を作り出す人です。

職人の概念は江戸時代に生まれたとされています。いわゆる「士農工商」によって身分が職業で分類され、その中の「工」にあたる人々を尊ぶようになったのが由来とされています。過去の技術を継承していくという意識が、次第に職人芸と称されるようになりました。そこから、職人という言葉が根付くようになったのです。

伝統工芸の生産額は1984年の5,237億円(経済産業省製造産業局 伝統的工芸品産業室『伝統的工芸品産業をめぐる現状と今後の振興施策について』より)をピークに年々減少し、職人の高齢化や少子化の影響で後継者不足も深刻化しています。しかし、近年は安価で大量生産、消費されるものより、高くても高品質なものを好む傾向があり、伝統工芸品が脚光を浴びるようになっています。長い下積みや薄給などで敬遠されがちだった職人業界ですが、最近では専門的な仕事に魅せられ、志す若者も増えているといいます。

弟子入りではなく、職人養成機関

伝統工芸品の職人になるには、独学、工房に就職する、職人に弟子入りするなどの道があります。弟子入りが一般的ですが、近年は教える職人の高齢化や若者の意識変化もあり、減少しているのが現状です。

そこで注目されているのが、専門学校や美術系大学、職人養成機関です。学校法人ものつくり大学や、京都伝統工芸大学校などがあります。京都伝統工芸大学校では陶芸、木彫刻、仏像彫刻、木工芸、漆工芸、蒔絵、金属工芸、竹工芸、石彫刻、和紙工芸、京手描友禅を学ぶことができます。

また、各産地や組合などでは後継者不足に対応するため、職人養成機関の運営も行っています。会津漆器協同組合の技術後継者訓練校、アダチ伝統木版画の職人志望者向けワークショップ、石川県立輪島漆芸技術研修所、堺刃物職人養成道場、大分県立竹工芸訓練センターなど、各産地にこのような機関があります。

静岡市では「クラフトマンサポート事業」という、もののつくり手を目指し、現場実習を希望する人を支援する制度があります。実習者を受け入れる事業者や工房に対して助成金が交付されるもので、対象は40歳未満、期間は短期(最長3ヵ月)と長期(2年)があります。また、ものづくりで生計を立てることを志す人が工房等を賃貸した場合、賃借料などの経費を一部補助する制度もあり、支援が充実しています。