日本マクドナルドの本質が「不動産業」のワケ

日本マクドナルドの最新の決算発表である2015年12月31日付貸借対照表を見ていくと、資産の部の内訳は、流動資産345億円、固定資産1443億円と約20:80の比率となっている。この固定資産の中身は言うまでもなく土地、建物が大部分なのだ。

その中身を詳しく分析していくと、売上高利益率を高く維持しながら、総資産回転率を減少させているので、あたかも「不動産業・リース業」の財務指標のモデルに近い。したがって日本マクドナルドの本質は「不動産業である」という解釈が、ここに繋がってくる。

次に、直営店をフランチャイズに変えることと「マクドナルドは不動産業である」との関係についてもう少し深堀りしよう。日本マクドナルドは本体で出店予定地の土地、建物、設備を取得する。直営ならそのまま経営するが、その店舗をフランチャイズに転換する際にはフランチャイジー(出店経営者)と賃料契約を締結する。この賃料はマックの実際の不動産コストよりも高い価格となる売上ベースの価格が設定される。

会計上、マクドナルドはフランチャイズを増やすことにより、店舗から上がってくる賃料が実質的なフランチャイズ収入として計上されるので、フランチャイズの比率を上げている間は、売上が上昇することになる。また直営店をフランチャイズに売却すれば売却利益が計上され、売上が上がる。

このマクドナルドのビジネスモデルの不動産業は、不動産の「売買」ではなく、「賃貸やリース」であることだ。さらにフランチャイズに経営の比重を傾けることは、経営上のリスクをフランチャイジーに転化することを意味する。

フランチャイズ方式をもう少し細かく分類すると、2つの契約形態がある。コンベンショナル契約は、フランチャイズ店舗の経営者からロイヤルティーを受け取り、BFL契約は、ロイヤルティー以外に店舗に係る賃貸料を受け取る。いずれもマクドナルドにとって魅力的な安定収益源となる。さらに、上記のように経営リスクをフランチャイジーに転化することによって、収益基盤の安定化を増大することになるのだ。

「マクドナルドは不動産業である」というのは、単に不動産賃貸業であるということでなく、フランチャイズ方式を使った売上増とリスク回避を同時に図るビジネスモデルを表している。

マクドナルドファンとしては、お客様においしいハンバーガーを食べていただく、というファストフードチェーンとしての原点を見失うことなく、食の安全はもちろんのこと、接客や店舗の清潔感をさらに改善するなどのサービス向上を果たし、見事に経営の立て直しを見せてくれることを切に望んでいる。

代表取締役社長 中村伸一 マネーデザイン
学習院大学卒業後、KPMG、スタンダードチャータード銀行、日興シティグループ証券、メリルリンチ証券など外資系金融機関で勤務後、2014年独立し、FP会社を設立。不動産、生命保険、資産運用(IFA)を中心に個人、法人顧客に対し事業展開している。日本人の金融リテラシーの向上が日本経済の発展につながると信じ、マネーに関する情報を積極的に発信。

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