生命保険,保険金受取人,税金
(写真=PIXTA)

保険に加入する場合、保険金受取人を指定することになるが、この受取人の指定の仕方によって課せられる税金の種類が異なるのをご存知だろうか。保険金が支払われる段階になって「受取人を別の人にしておけばよかった」ということのないように加入時点でしっかり設定しておくことが大事だ。ここでは、受取人と税金の関係について解説しよう。

1. 混乱しがちな「生命保険の当事者」を理解

生命保険では「契約者」、「被保険者」、「保険金受取人」という3つの立場の当事者がいる。

契約者とは、保険契約を締結する人、つまり保険に加入し保険料を負担する人である。次に、被保険者は、保険の対象となる人である。死亡保険であれば誰が死亡した場合に保険金が支払われるのかという場合のその対象となる人だ。

多くの場合、契約者と被保険者は同じ人だが、たとえば「こども保険」などでは、親が契約者でこどもが被保険者ということがある。保険金受取人は、文字どおり保険金を受け取る人である。貯蓄性の高い保険で満期保険金があるような保険では契約者と保険金受取人は同じことが多い。他方、死亡保険の場合には、夫が契約者で妻が保険金受取人にすることが多い。

2.当事者の組み合わせで保険金に掛かる税金の種類が変わる

保険金の種類と各組合せによる税金の種類は次のようになる。

【満期保険金】
①契約者(夫)被保険者(夫)保険金受取人(夫)…所得税
②契約者(夫)被保険者(妻)保険金受取人(妻)…贈与税

契約で定めた満期まで被保険者が生存していた場合に支払われるのが「満期保険金」で、保険契約者と保険金受取人は同じことが多い。

①は、自分がお金を支払い自分でお金を受け取るので、税の種類は「所得税」となる。

②は、夫が契約者で妻が満期保険金を受け取る場合で、夫がお金を支払い妻がお金を受け取るので夫から妻への贈与となり「贈与税」が課せられる。

【死亡保険金】
③契約者(夫)被保険者(夫)保険金受取人(妻)…相続税
④契約者(夫)被保険者(妻)保険金受取人(夫)…所得税
⑤契約者(父)被保険者(母)保険金受取人(子)…贈与税

被保険者が死亡した場合に支払われるのが「死亡保険金」である。

③は、夫が契約者で妻が受取人というケースで、最も加入している人が多い組み合わせだ。この場合、夫がお金を支払い相続人である妻にお金が支払われるので「みなし相続財産」とされ「相続税」課せられる。

④は、夫が妻に保険を掛けているという場合だ。夫がお金を支払い、妻が死亡した場合に、自分で保険金を受け取るので「所得税」になる。

⑤は、父親が母親に保険金を掛け、子どもが保険金受取人という場合だ。父親がお金を支払い、子どもが保険金を受け取るが、この保険金は母親の財産ではなくあくまで父親が保険料を支払った対価なので、相続財産にはならず、父親から子どもへの贈与ということになる。したがって「贈与税」が課せられる。

【年金保険】
⑥契約者(夫)被保険者(夫)保険金受取人(夫)…所得税
⑦契約者(夫)被保険者(妻)保険金受取人(妻)…贈与税

年金は、被保険者が一定の年齢になった場合に保険金受取人に対して年金形式で支払われるというものだ。

⑥は、自分で保険料を支払って、自分で受け取るのだから「所得税」となる。

⑦は、夫がお金を支払い、妻が年金を受け取るので、夫から妻への贈与ということになり、年金開始時の年金の評価額に「贈与税」が課税される。また、その後の年金については、運用部分についてのみ「所得税」が課税される。

3.保険金に掛かる税の種類で税率はどう変わる?

これまで、保険金受取人の違いで税の種類が違うのを見てきたが、税の種類が違うとどのように違うのかみていこう。

(1)所得税
死亡保険金や満期保険金は、一次的に支払われるものなので「一時所得」となる。一時所得の場合、課税対象となるのは「(保険金+配当金-払込保険料-50万円)×1/2」である。たとえば、保険金1000万円を受け取り、保険料の支払総額が500万円だとすると、配当がないとした場合、課税対象額は(1000万円-500万円-50万円)×1/2=225万円になる。仮に所得に対する税率が20%だとすると45万円程度になる。

(2)相続税
夫が契約者と被保険者で保険金受取人が妻という場合「相続税」になる。相続税は、他の相続財産と合算され算定されるので単純な計算はできないが、保険金の場合「法定相続人×500万円」は非課税になる。上記の例で同じく保険金が1000万円の場合、法定相続人が2人だとすると保険金については非課税ということになる。

(3)贈与税
贈与税の課税対象額は「受け取った額-110万円」となる。これまでの例と同じように保険金が1000万円の場合、課税対象額は、1000万円-110万円=890万円となる。890万円の税率は40%で控除額は125万円なので、890万円×40%-125万円=231万円になる。

このように、同じ1000万円の保険金を受け取る場合でも、相続税なら非課税で、贈与税なら231万円も課税されてしまうのだ。何も考えずに、保険金受取人を指定すると後で大きな税金が課せられることがあるので是非注意して欲しい。(ZUU online 編集部)

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