FX,初心者
(写真=Thinkstock/GettyImages)

FXは怖いからやめたほうがいいという人がいる一方で、FXだけで生活をしている人もいる。日本人は、投資よりも貯蓄を好むというのは有名な話である。しかし、貯蓄もリスクであることをわかっている人は、意外と少ない。貯蓄は、物価の上昇や円安のリスクには弱いと言われている。将来に備えて資金を作りたいのであれば、少なからず投資を知る必要がある。

FXを危険視する人はゼロではないが、ようやく日本でも定着してきた。投資のとっかかりとしてFXは始めやすく、リスクも管理しやすい。今回は、これからFXを始めたいという方のために、基本的な仕組みやそのリスクについて解説していく。

FXとは?

そもそもFXとはどういうものなのだろうか。FXは「Foreign Exchange」の頭文字を取ったもので、日本語では「外国為替証拠金取引」と呼ばれている。

日本がある商品を輸出し海外で商品を販売する場合、日本円で販売せず、その国の通貨で販売をするだろう。日本で、外国のブランド品が日本円で売られているのと同じである。つまり、世界の国々ではそれぞれの「通貨」が使われており、その通貨の価値、言い換えれば日本の1万円で何が買えるかが大きく異なる、ということはイメージしやすいだろう。

そして、その価値つまり為替相場はあらゆる要因で変動する。1万円を海外通貨に両替した場合、円高時には円の価値が高まっているため、多くの外国の通貨と交換をすることができる。反対に、円安時には多くの日本円を用意しなければならない。その「差」によって利益を出すのがFXである。

証拠金取引とは、FX口座に資金を入れ、それを担保に実際の金額以上のお金を動かすことを前提とした取引形態である。FX以外にも、先物取引でもそのスタイルをとっている。

FXの基本は為替変動による差益

FXは主に、為替変動による差益を狙う短期投資スタイルを取る人が多い。

1米国ドルが100円の時に、ドルを購入したとする。ドルを購入するということは、言い換えれば円を売るということになるのだ。その後、変動により1米国ドルが110円になったとする。すると、そこで米国ドルを売り、円を買った場合、100円で買ったドルが110円となり、10円の差益が発生したことになる。反対に90円になれば、10円のマイナスになってしまう。

これが、FXの取引スタイルであるが、実は「買う」だけが選択肢ではないのがFXの特徴である。先ほどの例で、為替相場が1ドル100円の場合、今後円高方向に進むだろうと予測したとする。その場合には、ドルを買っては損をすることになる。そのような場合には、ドルを売ることも可能なのだ。

初心者の方は、ここでつまずく方も多いが、言い換えればドルを売るというのは円を買うということである。つまり、預けている証拠金は日本円だが、日本円以外の通貨を軸にすることもできるということだ。

同じように1ドル90円になった場合には、10円の利益を得ることができるのだ。反対に、思惑が外れ110円の円安になってしまった場合には10円の損失ということになる。

FXは為替変動だけじゃない「スワップ」とは?

前項の差益を取ることが、FXでの利益のほとんどを占めることになるが、それ以外にもFXならではの恩恵がある。先ほどの差益はスキャルピングやデイトレードといった短期投資が主なのに対し、長期投資として利用することも可能なのだ。それが「スワップポイント」である。

日本は、世界的に見ても低金利の国とよく言われる。しかし、海外を見渡してみると高金利の国というは多い。例えば、身近な国で言えばオーストラリアやニュージーランドといった国は高金利で有名である。

本来、そうした金利の恩恵を受けることができるのは、外貨預金などの長期保有を前提となるが、FXでは毎日その金利を受け取ることができる。日本とオーストラリアを比べた場合、オーストラリアの金利が高い。日本円でオーストラリアドルを購入している場合、保有している限り毎日金利、つまりスワップポイントがつくのだ。

しかし、ここで注意していただきたいのはあくまでスワップポイントがつくのは、「買い」の状態、つまり保有していなくてはいけないということだ。もし、円高が予測される局面で、オーストラリアドルを売り、日本円を保有した場合には、反対にその金利差を支払わなくてはいけなくなるのだ。

FXでよく聞くレバレッジとは

FXの最大の魅力にレバレッジ効果というものがある。証拠金取引は、実際に預けた資金以上の金額を動かすことができるといったのは、このことである。

例えば、1ドル100円の局面で、証拠金を1万円預けていたとする。本来であれば、1万円をドルにそのまま交換すれば、100ドルになる。しかし実際には、個人の場合日本では最大25倍のレバレッジが認められている。つまり、1万円でも25万円分の取引が可能ということだ。

ドルで言えば、250ドルを動かすことができるのである。そして、そこでの差益は当然大きくなるが、その利益を受け取ることができる。小さな金額でも、大きな利益を得られる可能性があるという点が、最大のメリットと言えるだろう。

しかし、レバレッジはリスクでもある。25倍のレバレッジをかけた取引を行った場合、そこで得た利益はあなたのものになるが、損失を出した場合には大きなマイナスになるのだ。

レバレッジは、FXの大きな魅力であるが、その分リスクが高まることを忘れてはいけない。

FXに大きくかかわる為替相場が変動する仕組みって?

FXの場合でも、需要と供給の仕組みを理解することは必須だろう。需要が多くなれば高くなり、供給が多くなれば安くなるというのは、経済の大原則である。

もし日本株が上昇した場合、自国だけではなく海外の投資家たちは、円を売って通貨ではなく株を保有しようとする。円が売られるということは、市場に円が溢れ供給が多い状態になり、円安になるのだ。反対に株価が下がった場合、投資家は「これ以上下がる前に」と株を売り始める。すると、円の需要が増え円高になるのだ。

しかし、為替相場の変動要因はもちろんそれだけではない。先のアメリカ大統領選挙の結果は、世界に大きな衝撃をもたらした。また、今年の英国のEU離脱(Breixt)も記憶に新しいだろう。

今年2016年は、これらのニュースにより為替相場は大きく変動した。大統領選の場合には、トランプ氏優勢となると安全通貨といわれる円が買われ、大きく円高になったものの、その後それ以上の変動で円安となった。

Brexitの際には、離脱しないだろうという予想が多かったため、円安方向に進んでいたものの、離脱とニュースで伝えられるとその後のEU経済への不安から、円が買われ一気に円高方向へと動いた。

また、テロや戦争、災害といったものも為替相場を大きく動かす要因である。国の信用性や安全性も影響すると言えるだろう。つまり、こうした世界のニュース、出来事、要人の発言により為替は大きく変動するのだ。

FXは取引する時間が制限されない

FXは24時間取引が可能であることが、人気の理由にもなっている。日本の株式の場合、お昼休みを除いた9時から15時までが取引時間である。その時間内に取引をしなくてはならない。一方、FXは土日を除き24時間取引が可能である。

ただし、各国との時差があるため、それぞれ取引が活発な時間というのは異なっている。日本時間6時から8時には市場参加者は少ないが、オセアニア時間と呼ばれ、ニュージーランドなどの経済指標の発表が行われる。東京時間は8時から15時と言われ、16時には、欧州の株式市場が動き出す。21時からはアメリカの参入が始まる。

こうした世界の時差を把握することは、流動性を考える上では必要な知識である。

FXと外貨預金では何が違うのか?

外貨預金とFXはよく似ているが、違うものである。外貨預金はあくまで「預金」である。金利に加え差益による恩恵もあるが、一定期間預け入れることが前提となっている。一定期間の預け入れにより、高金利の恩恵を受けることができるという商品である。加えて、外貨での元金保証があるので、長期投資として選ばれるものだ。

一方、FXは決済することが前提の取引である。つまり、買いポジションを持っているなら、売りという決済を行って初めて、利益、損失が確定する。また、スワップポイントと言われる金利は、毎日付与される。

しかし、スワップポイント狙いでも証拠金取引であることを忘れてはいけない。FXの場合、ロスカットという強制決済があるのだ。損失が証拠金の50%を下回ると、強制的に反対決済がされてしまう。つまり、常に証拠金維持率を50%に保たないといけない。

長期保有する場合には、そうした面に注意しつつ、自身の資産運用は外貨預金が適しているのか、FXのスワップポイント狙いで長期保有するのか熟考する必要があるだろう。

FXで取引できる通貨って何がある?

最近では、各FX会社により取引通貨の差別化競争が始まっている。ベーシックな通貨としては、米国ドル、ユーロ、英国ポンド、中国元、オーストラリアドル、ニュージランドドル、カナダドル、スイスフランがある。

それ以外にも、マイナー通貨の取引が可能な会社もある。南アフリカランドやトルコリラ、韓国ウォン、ノルウェークルーネ、スウェーデンクローナ、メキシコペソ、シンガポールドル、香港ドルなども取引可能だ。

また、それぞれの通貨建てでの取引が可能な場合も多く、その組み合わせは膨大である。初心者の方は、一番身近な米国ドル/円から始める方が多い。

結局のところFXのリスクとは?

FXには、様々なリスクがある。その最たるものが、レバレッジ効果による損失である。その分、利益も大きくなるが身の丈にあったトレードを行うことをお勧めしたい。

また、先の大統領選時のように世界的な出来事には常に注目しておかなければならない。また、経済指標の発表や要人発言により変動することがある。

大統領選後、ドル/円は12円以上の変動があった。その流れにうまく乗れた場合にはかなりの利益を上げることができただろう。しかし、それが損失であったらと考えると恐ろしい。

FXではpipsという単位を用いる。100pipsが1円である。1200pipsの変動というのは、かなり稀な現象である。そのような局面では「損切り」という考え方が重要になってくる。FXでは、指定したレートに到達すると決済するという設定が可能だ。損失がここまできたらマイナスでも損切りをし、損失を抑えるという戦略が必要になる。

FX会社はどう選ぶ?

FXを行う場合には、FX会社を通して取引をすることになる。FX会社は、インターバンク市場との仲介役と言われている。個人投資家が、直接インターバンク市場と取引することはできない。そのため、インターネット回線で言うところのプロバイダの役割を果たしているのがFX会社なのだ。

海外を含めるとFX会社の数は膨大である。海外では、日本の25倍よりも高いレバレッジをかけることができる会社がある。しかし、まずは国内のFX会社に口座を開設することをお勧めしたい。その際の選ぶ際は、「スプレッド(手数料)の狭さ」「スワップポイント」「チャートの見易さ」がポイントになる。

スプレッドとは、FX会社の手数料である。買いの場合と、売りの場合との価格が実際のレートと若干異なるのだ。その差がFX会社の利益になる。このスプレッドは、狭ければ狭いほど良い。短期売買を前提としている場合には、こうしたスプレッドに注目するのもありである。

一方、中長期投資を前提している場合には、金利差であるスワップポイントも考慮しなくてはいけない。加えて、チャートソフトやアプリにも各社かなりの差がある。いくら、スプレッドやスワップポイントが魅力的でもトレードがしにくければ意味がない。口座を作るのは、ほとんどの会社で無料なので、複数の会社に口座を開設し、比較してみるのもいいだろう。

センスは身につけるもの

FXはリスクが伴うものの、通貨を取り扱うというわかりやすさからも、今後も人気は続くだろう。少額から始められるというのも、投資の初心者でも取り組みやすい。

まずは、入門書などを読み込み、基本的な仕組みや手法を学ぶことをお勧めしたい。そして、次にすることとして、デモトレードがある。デモトレードで十分経験を積み、次に失ってもいい余裕資金を使い、少額から実施にトレードをしてみる。デモトレードと実際の取引とで、かなり緊張感が違うことを感じていただきたい。

大きな経済発表時や、要人発言に注意しつつも、常に世界情勢にアンテナを張り続けることが必要になってくる。センスは、元々のものではなく身につけるものだ。ぜひ、FXのセンスを磨き、トレードを楽しんでいただきたい。