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生前贈与と相続の関係

生前贈与で相続対策とは?贈与税が減税対象に

生前 贈与 相続
(写真=Thinkstock/GettyImages)

豊富な財産を所持する者にとって、相続というのは非常に重要な関心事のひとつだ。しかし、直近の税制改正によってこの問題は一部の富裕層だけのものではなくなった。端的に、一般的な相続における基礎控除額が大幅に引き下げられたのである。今回はその改正内容や、これを回避する手段のひとつ、生前贈与について解説する。

生前贈与とは

生前に他者へ資産の贈与を行う行為、これを総じて生前贈与と呼ぶ。生前贈与によるメリットは相続税の節税・減税である。しかし、生前贈与を行えば、相続税の代わりに贈与税がかかることになる。

贈与税は、原則として贈与を受けた財産すべてに対し課せられるものである。そのため、生前贈与も通常であれば、この対象に含まれる。だが、贈与税にはいくつかの特例が設けられており、それら制度の定める要件を満たした贈与に関しては、非課税となるのだ。

生前贈与はこういった特例を最大限活用することにより、相続税の節税を計ることを目的として行われる。

生前贈与の課税対象と非課税対象

贈与とは、財産(金銭、不動産、有価証券等)を譲り受ける、あるいは譲り渡す行為を指し、贈与税は「贈与を受けた者」に課せられることとなる。ちなみに、贈与が「個人間」でなく「法人から個人」のものであった場合は、所得税の対象となるため、注意してほしい。

贈与税制において定められている特例のうち、特に生前贈与に関わるものは4つのタイプがある。夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除のほか、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税、直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税、直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税、という具合だ。

直系尊属とは子や孫から見た両親や祖父母のことであり、どれも親しい繋がりにおいて認められている特例であることが分かるだろう。すなわち、いずれ相続をするだろう相手へ一定の範囲内で生前贈与することが制度上認められているわけである。

一方で、特例の要件は非常に細かく定義されているため、利用する際には十分な理解が不可欠だ。

相続税に関する税制改正の内容と影響

ここまで生前贈与について簡単に紹介したが、こういった方法が模索されるようになった背景には、平成25年度税制改正が関係している。冒頭でも触れた通り、基礎控除額が大きく引き下げられたのである。

具体的には、改正前が5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)であったのが、改正後には3,000万円+(600万円×法定相続人の数)となった。

法定相続人の数にもよるが、少なくとも2,000万円以上の減額となっている。またこれに加え、一部相続税率が見直され、最高税率も引き上げられた。

もし、あなたが現在所持する資産がこれらの控除額を超えている可能性があるならば、生前贈与を検討する余地は大いにあるだろう。また、不動産等の現価がはっきりしないものを所持しているならば、それらが果たしてどの程度の財産に相当するのか確認しておくことをおすすめする。

生前贈与にかかる費用

生前贈与の特例制度を利用すれば、贈与税は非課税になるものの、贈与そのものにかかる費用が控除されるわけではない。例えば、不動産の名義変更を行う場合には、登録免許税と不動産取得税が発生する。

この2つの税金に関しては非課税とする方法はなく、必ず支払わなければいけない。登録免許税は資産評価額のおよそ2%、不動産取得税は資産評価額のおよそ3~4%が課されるため、合わせて資産評価額の5%強の実費が発生することとなる。

相続における税金対策

先に挙げた生前贈与の特例制度は非常に限定された状況でのみ非課税が認められるものだったが、そうした特例とは別に、贈与税には相続を見据えた相続時精算課税制度という枠が設けられている。

相続時精算課税制度を利用すると、すべての贈与に対する贈与税を通常の贈与よりも減税することができる。一方で、贈与税には元々基礎控除枠が認められていることを忘れてはいけない。

通常の贈与による課税を暦年課税制度と呼ぶが、暦年課税制度では年間110万円までの控除が認められており、この範囲内で行われた贈与については一律で非課税となる。

相続時精算課税制度は不動産や有価証券など価額の変動が激しい財産の贈与に向いているが、一度これを利用すると、以後対象者間での贈与には基礎控除が認められず、行われた贈与は相続時に一括で相続税が課せられることとなる。

生前贈与を行う上での注意点

生前贈与にはさまざまな方法があるが、もっともポピュラーなのはやはり暦年課税制度による現金贈与だ。特別な手続きなどもなく、単純に利用しやすいというのが最も大きなメリットといえる。

しかし、それらが贈与であると税務上認められるためには「確かな証拠」が必要となることに注意が必要だ。この対策が甘い場合、相続発生時に一括で相続税が課せられてしまうため気をつけなければいけない。

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