不動産投資,失敗
(写真=PIXTA)

誘うだけ誘っておいて出口はなかなか教えてもらえない不動産投資の世界。サラリーマンに不動産投資を副業として勧めるが、そう簡単に資産形成ができないのが実情である。では、これまでに勧められるがままに買ってしまった人たちには処方箋があるのだろうか。不動産業者が儲かる仕組みを通して、サラリーマン投資家の出口を見出してみたい。

不動産会社の儲けの構造

相談にこられたある女性の話。彼女は病院勤めの看護師で、投資用のワンルームマンションを2戸購入していた。妙齢のマンションオーナーであり、不動産投資家であるわけです。彼女の投資の内容を見てみると、実は、マンションを購入した借入金で身動きが取れない状態で、マンションオーナーや投資家は表向きの顔。実際は“借金まみれ”というわけだった。

その彼女は不動産会社からマンションを高値で買っており、月々のローンの支払いと管理費などの付帯する費用などが家賃収入を上回ってしまうため、毎月赤字で持ち出しを余儀なくされている。そのため、黒字でインカムゲインが発生するのはローンを払い終わる30年後。そこまで待たなくてはいけないわけだ。このあたりのことをよくわかっている不動産会社は「30年後は年金代りになりますよ」と。

彼女の心情はこの言葉を信じ混んでしまい、彼女の出口戦略は結局30年後の話で、早期売却などの対策は全く考えていなかった。このように、自分の買い物には間違えがないと思いたい心情があらわれていまうのだが、実態は30年間に考え得るリスクは枚挙に遑がないわけです。

それらのリスク要因がなにも加味されていないのに、不動産会社は「安定した利益が出ます」と……投資用マンションを高く買った彼女は、結果的に安く売ることになるはず。それではインカムゲイン(運用益)もキャピタルゲインも得ることができず、儲かるのは物件を販売した、あるいは管理する不動産会社だけという構図と言えるだろう。

勧められるがままに買ってしまった人たちの処方箋

何年か前に投資用不動産を購入した上場企業のサラリーマン。電話勧誘で買ってしまったが、年収が1000万円以上あり不動産投資での所得税還付の恩恵はここ数年前まで受けていた。

そんな状況で相談に来られ、そろそろ定年も近いし、税金の還付効果も薄らぎ資産の整理をして欲しいとのことで投資マンション2戸の売却を進めることになった。実際に現地調査や市況を調べて査定金額を算出していき、当面は高めの売値で様子を見ることにした。その間に賃貸借契約の見直しやローンの金利の値下げ交渉を同時進行することを提案。

まず、賃貸借契約はサブリースであったために早期に解約の申し出をすることにした。それにより、収入は月に1万円ほど多くなった。サブリースの解約は通常、数か月前に解約希望の通告をサブリース会社に行う必要がある。そのため、早めに対処しておくべきで、物件の売却までには解約しておく方が望ましい。

ただ、昨今の空室率の問題もあり、一概にサブリースを解約するのには個々の物件の立地や賃料などの賃貸条件を精査しておかないといけない。このあたりの精査はやはりプロにお願いしないと見方を誤る可能性があるので注意が必要だろう。

次に、ローンの金利は下げられる条件を探る必要がある。現在、借り入れ中の金融機関に金利交渉をする必要もあるだろうし、3%以上の金利で融資を受けている物件は借り換えも視野に入れておく必要がある。特に、先日も日銀から発表があったが、マイナス金利の影響で不動産投資に対する金融機関の貸出はバブル期以上で依然、積極的である。新規借入だけではなく、既存のローン借り換えも行う銀行も出始めている。

したがって、高い金利の融資金はこの機会に借り換えを検討しておくべきだろう。金利が1%違えば収支は改善する場合もある。このように、売却が決まるまでの間は収支改善の作業をしておくことで、多少の売却期間がかかっても高値で売却できるような出口戦略は考えておくべきであろう。

勧められるがままに買ってしまった人たちができる出口戦略は、まずは今の所有物件を見直しすることだ。収支やローンの残額、管理費や修繕費用、税金などを精査し、例えば、収支改善にサブリースや管理委託の契約から自主管理、もしくは管理委託費用の安価な会社への変更、ローンの金利見直しで金利交渉や借り換えというような作業は必要不可欠である。もし、自分ではなかなか整理がつかずわからないというのであれば、プロの力を借りて早々に出口戦略を立てておくことだろう。

来たるべき売却時に備えるように常に心がけ、いつでも好条件で売れる条件を日々整えておくことが重要であろう。

サラリーマンの副業として不動産投資を行うには?

最近では、サラリーマンの副業として不動産投資は最適だという話をよく耳にする。これは、不動産業者や金融機関からみれば、サラリーマンはお金が借りやすい、貸しやすいからである。安定した収入が担保になるサラリーマンは絶好のターゲットだが、実態はどうなのだろうか?

不動産投資関係で相談に来られるサラリーマンの場合、ワンルームマンション投資の案件が多い。中には、5戸や8戸など複数を所有している人も珍しくない。気軽にはじめてどんどんマンションを買ってしまった人たちが以外に多い。毎月の持ち出しが多くなり、徐々に自分の生活自体が脅かされてしまい、精神的にも不安定な状態になってしまう。

不動産は株式と違い、簡単にお金に換えることができない。ほかの金融資産と比べると換金性が悪いという特性をよく理解することがまずは必要だ。

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また、重要なのは、ゴールを明確にすること。投資の場合のゴールは「いくら儲けたいのか」ということ。たとえば利回りが5%だったとしても、そこに対して1千万円投資する場合と、1億円投資する場合では儲かる金額が大きく異なってくる。

不動産投資を始めようと考えたとき、その目的とゴールがはっきりしていないと不動産業者の言いなりになってしまう。例えば、「月に最低いくら欲しいのか」を決め、その金額を稼ぎ出すためにはどの程度の規模の物件を取得すればいいのか。2千万円のアパート1棟では目標にまったく届かないからといって、1億、2億のカネを捻出できるのか、その決断ができるかどうかが問われることになる。

ただ、不動産投資はなし崩し的に予算を増やしても成功するものではないことは理解しておくべきだろう。不動産投資は自己資金が少ないほどリスクが大きくなる。したがって、自己資金が十分でないとしたら、初めから「やらない」「止める」という選択肢を持つべきである。

寺岡 孝(てらおか・たかし)
アネシスプランニング株式会社代表取締役。住宅コンサルタント。住宅セカンドオピニオン。1960年東京都生まれ。大手ハウスメーカーに勤務した後、2006年にアネシスプランニング株式会社を設立。住宅の建築や不動産購入などのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行っている。

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