相続,相続財産管理人
(写真=Thinkstock/Getty Images)

相続において相続人が不在の場合、相続財産がどのように扱われるかご存知だろうか。さまざまな手続き上、財産はそれを管理する人が原則的に必要なため、相続財産管理人が選任され管理を行うこととなる。

今回は相続財産管理人とはどのような役割をもったものなのか、また相続財産管理人が必要となるケースはどのような相続なのかなどを解説する。


相続財産管理人とは

相続財産管理人は、相続人が不在・不明の相続において、相続人の捜索・相続財産の調査及び分与・相続財産の管理や換金(換価)・相続財産から必要な支払いなど、以上のような手続きを執り行うために選任される。

相続財産管理人が必要なケースとは

相続財産管理人の選任が必要になるのは相続人が不在・不明な相続についてだが、この管理人は誰のために選任されるものなのか。これは端的に、被相続人に対して債権を持つ者(相続債権者)や、遺言によって遺贈の指定を受けた受遺者のためである。

もし相続財産管理人が選任されなければ、相続財産が不当に失われたり、隠されてしまう危険がある。そのため、家庭裁判所へ申し立てることで相続財産管理人は選任される。相続財産管理人の選任を請求するのは債権者や受遺者(特別縁故者など)であり、相続人ではない。

また相続人が不在・不明な相続とは、相続人が相続放棄をして、結果的に相続する者がいなくなった場合も含まれる。

相続財産管理人の選任方法とその流れ

相続財産管理人の選任を請求する流れは次の通り。

必要書類を揃える

相続財産管理人の申立書、被相続人の戸籍謄本、被相続人の親族の戸籍謄本など。このほか相続財産の中に不動産登記があれば不動産登記事項証明書、固定資産があれば固定資産評価証明書、預貯金や有価証券があればその残高が証明できる書類が必要となる。

裁判所へ申し立てを行う

上記必要書類を揃え、返信用の郵便切手などと合わせて裁判所へ提出する。

裁判所において審理が行われる

申し立てが行われると、家庭裁判所は申立人に対して相続財産管理人が必要であるか否かを審理する。このとき、必要に応じて追加書類の提出を求められることもある。

審判後、相続財産管理人の選任

審理の結果、相続財産管理人が必要であると認められれば、審判ののちに家庭裁判所は相続財産管理人を選任することとなる。

なおこのとき選任される相続財産管理人とは、被相続人の関係者である場合もあれば全く関係のない弁護士や司法書士といった専門家である場合もある。

相続財産管理人選任にかかる費用

選任に際してかかる費用は、基本的には収入印紙(800円)、返信用郵便切手(管轄の家庭裁判所によって異なる)、官報公告料(3775円)のみである。収入印紙と郵便切手は申し立てのときに、公告料は選任に際してかかる費用であるため、審理の結果を待ってから納める。

これらに加えて、相続財産管理人に対して支払う報酬がある。原則、相続財産管理人の報酬は相続財産の中から支払われるが、もしもこれが十分でなく報酬が支払えないことが見込まれるときには、報酬相当額を申立人が納めなければならない。これを予納金といい、金額はさまざまであるため一概に述べることは難しい。

価額が少ないことが見込まれる相続財産に対して相続財産管理人の選任を申し立てる場合には、ある程度まとまった資金を用意しておく方が良いだろう。

相続財産管理人選任後の流れ

相続財産管理人は、選任されたのち、次のような手続きを執り行う。なお以下の文章は『 裁判所「相続財産管理人の選任」』 から引用したものである。

Q. 財産管理人が選任された後の手続は,どのようになりますか。

一般的な手続の流れは次のとおりです。途中で相続財産が無くなった場合はそこで手続は終了します。

  1. 家庭裁判所は,相続財産管理人選任の審判をしたときは,相続財産管理人が選任されたことを知らせるための公告をします。
  2. 1の公告から2か月が経過してから,財産管理人は,相続財産の債権者・受遺者を確認するための公告をします。
  3. 2の公告から2か月が経過してから,家庭裁判所は,財産管理人の申立てにより,相続人を捜すため,6か月以上の期間を定めて公告をします。期間満了までに相続人が現れなければ,相続人がいないことが確定します。
  4. 3の公告の期間満了後,3か月以内に特別縁故者に対する相続財産分与の申立てがされることがあります。
  5. 必要があれば,随時,財産管理人は,家庭裁判所の許可を得て,被相続人の不動産や株を売却し,金銭に換えることもできます。
  6. 財産管理人は,法律にしたがって債権者や受遺者への支払をしたり,特別縁故者に対する相続財産分与の審判にしたがって特別縁故者に相続財産を分与するための手続をします。
  7. 6の支払等をして,相続財産が残った場合は,相続財産を国庫に引き継いで手続が終了します。

特別縁故者は忘れずに相続財産分与を申し立てよう

相続財産管理人を選任した後の手続きの中に、「特別縁故者に対する相続財産分与の申し立てがされることがある」とあるが、逆にこれを行わなければ、遺言書によって遺贈の指定などがない限り特別縁故者は基本的に相続財産を受け取ることができない。心当たりのある方は、この期間中に忘れず申し立てることに注意しよう。