2016, 株式投資, 藤本
(写真=michelangeloop/Shutterstock.com)

2016年は資産運用初心者の皆さんにとってどのような一年だったでしょうか?

DAILY ANDSでは、1年を振り返る企画の一つとして、「相場の福の神」の愛称で知られるSBI証券シニアマーケットアナリストの藤本誠之(のぶゆき)さんに「2016年印象に残った銘柄・2017年気になる銘柄」をインタビューしました。前編となる今回は、藤本さんに教えてもらった「2016年印象に残った銘柄TOP5」を紹介します。

※記事の情報、年初来高値・安値などの数値は2016年12月26日時点のものとなります

「福の神」が2016年を振り返る

具体的な銘柄を挙げる前にまず、株式市場から見ると2016年がどんな一年だったか、を簡単に振り返ってもらいました。

2016, 株式投資, 藤本
「相場の福の神」の愛称で知られる藤本さん(写真=DAILY ANDS編集部)

「2016年は、何十年来なかったことが何回も起きてしまった年だったと思います。いわゆる『ブラック・スワン』と言うやつですね」

藤本さんによると、2016年の「ブラック・スワン」はブリグジットとトランプラリーの2つ。

ブリグジットはイギリスがEUを離脱することを示す造語ですが、投票結果が出た6月24日、日経平均株価はたった一日の間に1374円も下がって1万4864円となっています。藤本さんは、「イギリスEU離脱という投票結果になるとは予想しておらず、マーケットがびっくりしてしまって株価が暴落してしまいました」。

トランプラリーは、米国の大統領選挙後に金融市場で株価が暴落した後、すぐに反動で上昇に転じたことを示しています。

「僕は29年間この証券業界にいますが、未だかつてこんな風に下げてから上げるのは初めて。トランプ氏がもし大統領になったらとんでもないリスクが重なるのではないか、とマーケットは心配していたのですが、理由ははっきりとは分かりませんが、『そうでもなさそうだ』と判断されたということでしょう」

「福の神」の印象に残った銘柄TOP5はコレ!

1年をおさらいしたところで、気になる個別銘柄のお話に。「5つも(印象に残る銘柄は)ないですよ(笑)」という中で、DAILY ANDS編集部が頼み込んで挙げてもらった藤本さんの「2016年印象に残った銘柄TOP5」は次の通りです。

5位 三菱UFJフィナンシャル・グループ〜トランプラリー

藤本さんは考え込んだ末、「5位はトランプラリーによって株価が戻った三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> でしょうか」と話しました。

三菱UFJフィナンシャル・グループの2016年の株価は、年初から下降気味で、1月に700円台からスタートしたものの3月には400円台に突入、しばらく400〜500円台で推移した後、米大統領選挙直後から急上昇、12月には700円に回復し、12月26日現在、年初の水準まで戻っています。

「三菱UFJフィナンシャル・グループのように時価総額が数兆円を超えるような大企業の株価は個人投資家の売買で動くことはほとんどありません。東京証券取引所の出来高(売買が成立する株数のこと)の7割は外国の機関投資家がつくっています。UFJの値動きは、今回は年初に外国の投資家が日本株の比率を思い切って落として、年末にかけて思い切って戻したということの表れでしょう」

藤本さん曰く、三菱UFJフィナンシャル・グループのような大型株はいわゆる「日本を代表する銘柄」。三菱UFJフィナンシャル・グループのような大型株の株価を見ていると、外国人投資家から日本の経済がどのように見られているかが概ね分かるというわけです。(もちろん例外もあります)

2017年の見通しはどうでしょうか?

「2016年の年初に三菱UFJフィナンシャル・グループの株価が下がったのは、『今後、日本経済が伸びるのは難しい、アベノミクスはもう息切れしている』と判断され、年初から株が売られたためです。その後、株価が上がったのは外国人投資家が売ったものを取り戻しに行っただけ。ここから先、もっと上がるか(買うか?)というと、もっと日本がよくなっていくと思われないと、なかなか上がりづらいのかなと思いますね」

4位 ブランジスタ、イグニス〜秋元康関連銘柄

続いてランクインしたのはAKB48のプロデューサー秋元康氏の関連銘柄、ブランジスタ <6176>とイグニス<3689>。一瞬、何の会社?と思ってしまいそうですが、それぞれ子会社が秋元康氏と組んでゲームを開発したりしたことで2016年注目されました。

ブランジスタは子会社がスマホのクレーンゲーム「神の手」を展開し、AKBメンバー本人がいた空気が入っているとされる景品「場空缶」が話題に。株価を見ると、5月に急上昇した後すぐに下降しており、「ジェットコースター相場」とも言われました。1年間の高値と安値の差はなんと14倍。

一方のイグニスは、VR領域を手がける子会社に期待が集まり、さらにそこに秋元氏が資本参加メンバーとなることが11月11日に発表されて株価が急上昇。1年間の安値と高値の差は9.6倍となっています。12月26日の株価は8490円となっており、高値の1万2680円(12月15日)から少し落ち着いてきました。

「秋元康さん関連銘柄が”効く”のだなと思いました。株価は『夢』で上がりますので、ブランジスタやイグニスの株を買った人は『株価が上がるかもしれない』という夢を買ったというわけです。2016年に2回、実際に株価が上がった経験があるので、2017年も秋元さんは一つのテーマとして注目されると思いますよ」

3位 そーせいグループ〜バイオベンチャー相場

3位にはそーせいグループなどを中心にした「バイオベンチャー相場」が入りました。

「小野薬品工業が抗がん剤『オプジーボ』で一発当てたら業績が様変わりしました。それによって新薬の強さ、つまり新薬というのは一発当たったときの業績改善に対する影響が大きいのだと分かったのですね」

オプジーポといえば、2014年に承認されてから「がんの特効薬」として販売が急拡大した注目の新薬。100ミリグラムで約73万円と超高額であることなども報じられました。

藤本さんによると、バイオベンチャー株が注目され始めたのは昨年の10月ごろ、小野薬品工業の収益が上がり始めた頃。2016年には小野薬品工業の他にも収益を上げて、株価も上がる企業が出てきたと言います。

一例として、そーせいグループの株価を見ると、1月4日に1万300円だったものが徐々に上がり、5月9日には2万6180円の高値を付けました。1月18日の安値(9080円)から比べると2.9倍です。

今後の見通しを聞くと、「薬価の引き下げがさけばれているので、バイオベンチャーはなかなか活躍しづらくなっているとは思います。ただ医療関連の注目は高まっているのである程度は来るかな、とは思います」とのことでした。

2位 東芝〜復活

「2位は東芝<6502>ですかね。ある程度、膿を出しきったら(株価は)上がるもんなんだな、ということが分かりました」

東芝の株価は今年2月12日に155円となった後、V字回復して右肩上がりで上昇、12月26日の終値は443円です。不正会計問題発覚前の株価(500円台)ももうすぐです。

「(東芝の株価が)上がったのは、端的に業績の回復ですね。(決算を見る限りでは)構造改革が、今のところがうまく行ったように見える、業績にはそのように表れているということ。これは非常に大きいですね。そして実力のある会社ですから、その点が評価されたということでないでしょうか」

藤本さんに、東芝の今後の見通しを聞いてみました。

「良い所まで来たので、これ以上はそう簡単には上がらないのではないでしょうか。企業が過去よりも良くなったわけではないので。ここからどう頑張るか、だと思います」

1位 任天堂〜「ポケGO」で急騰

「1位はやっぱり任天堂 <7974> でしょうね」

2016, 株式投資, 藤本
(写真=pim pic/Shutterstock.com)

藤本さんが迷いなく1位に挙げたのが、『ポケモンGO』の流行による任天堂の急騰。アメリカで先行配信されたのを皮切りに話題が沸騰し、7月19日には株価が3万2700円を突破、6月28日の1万3360円という年初来安値から2.4倍となりました。7月20日の任天堂の売買代金は7323億円と、個別株として日本市場過去最高を記録しました。

「これはやはり記録的なことだと思います。任天堂が今までのゲーム機主体の会社から、スマホも含めたキャラクター活用ビジネスに軸足を置いた経営に移っていく、ということの象徴的な出来事だと思います」

ポケGO現象について、藤本さんが着目するポイントは2つ。1つ目はSNSの流行です。

「SNSの流行というのが、ポケGOのヒット要因です。ポケGOが出た後すぐ、ポケGOをやっている人の姿がSNSに上がって、キャラクターを捕まえた人がその様子をSNSにアップする。SNSが流行ったことによって、個人のSNSというものが非常に力を持ったことが分かりました」

2つ目のポイントはキャラクター活用ビジネスです。

「ポケモンが日本で人気があるのは知っていましたが、海外であれだけ流行っているとは知りませんでした。海外であれだけ地名度があるというのは、すごい影響力だと思います。今まで日本は工業製品を輸出して経済発展してきましたが、キャラクター活用ビジネスは日本が今後収益を挙げていくかなりいい素材だと思います」

任天堂にはポケモン以外にもマリオなど世界的に人気のキャラクターがいることから、藤本さんは「任天堂は2017年、注目銘柄の一つでいいと思いますよ」と話しました。

日経平均株価、年内2万円はあり得る?

2016年12月26日現在、日経平均株価はおよそ1万9300円台から1万9500円台を行ったり来たりしています。年内に2万円を超える可能性について質問すると、「2万円にワンタッチすることはあり得ると思いますけど、一気に超えることはそうないんじゃないかなと思います」とのことでした。

「福の神」に聞く2016・2017 国内株式市場<後編>では、藤本さんの「2017年気になる銘柄のキーワード」を紹介してもらいます。(続く)

DAILY ANDS編集部
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(提供: DAILY ANDS

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