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投資の基礎
Written by 山中 伸枝 9記事

ど素人が始めるiDeCo(5)

結構めんどくさい「iDeCo(イデコ)」の始め方 脱落者続出?

筆者はファイナンシャルプランナーとして資産形成のご相談をお受けしている。最近はiDeCoの認知度も高まり加入希望者も増えた。しかし、会社員の多くは始める前に、あまりの手間にくじけてしまいそうになるのだ。

iDeCo,確定拠出年金
(写真=PIXTA)

任意加入なのに会社に届けなければならない

iDeCoはあくまでも「私的年金」の位置づけだ。公的年金では不足する老後資金を補完するのが目的であり、加入者には自己責任が求められる。

しかし税金の扱いは公的保険レベルに手厚い。掛金は全額所得控除となりこれは社会保険料と同等の扱いだ。受取の際、一時金であれば退職金扱い、年金であれば公的年金扱いとむしろ受け取り方にバリエーションがある分、公的年金より使い勝手が良い。

60歳まで引き出しができないが、これも公的年金と同じ。だからこそ、万が一自己破産した場合でも差し押さえ財産とならず老後資金は保全される。

自己責任なので、運用自体は加入者自身で行うが、国の年金制度への不安が高まる中、公的年金とは財布を分けて「自分年金を持つこと」をメリットと考える人も多いだろう。

筆者のもとにも、iDeCoで老後の資産形成を始めたいというご相談者が多いのだが、会社員の場合「会社に内緒で加入ができない」という話をすると、一様にめんどくさそうな顔になる。すぐに始められないので、出鼻をくじかれたような気がするのだ。

会社員の場合、会社の福利厚生制度によって掛金上限額が異なることは前回のコラムでお伝えしたが、適切な掛金で運用がされているのかどうかを確認するために会社の証明が必要なのだ。企業年金の有無、企業型確定拠出年金をしている場合、会社としてiDeCo併用を認めているかどうか、本当に厚生年金加入者なのかどうか(会社として厚生年金に適切に加入しているのか)が問われるのだ。

その確認のための書類が、金融機関から届けられる「事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書」だ。

会社の担当者も知らない、iDeCoの手続き

会社員のiDeCo手続きが悩ましいのは、会社の担当者もそれをどうしたら良いのか分からないという点だ。大企業は別にして、中小一般企業ではまだまだiDeCoの認知度が低い。

会社員がiDeCoを始めるにあたり、事業所が国民年金基金連合会に事業所登録を行う必要がある。その会社で最初のiDeCoの加入希望者があれば、その人が持ち込む「事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書」を記入すれば、それがそのまま事業所登録の申請書となり、手続きが完了すると国民年金基金連合会から事業所番号の通知がある。その後は事業所番号をもって手続きを行えばよい。

通常iDeCoの手続きは総務や人事が行うのだろうから、担当者であれば今後社員からiDeCo加入の書類がくることを前提として以下のことは覚えておきたい。また会社に書類を持っていく立場の人も、担当者が渋い顔をしたら以下のように対応してもらえば問題はないので一読をお勧めする。

書類の中身自体はそれほど難しくない。厚生年金適用事業所の登録住所の記載であったり会社の退職金制度や企業年金制度の確認でなので、人事や総務の方であれば問題なく記入できるだろう。

手が止まるとしたら、掛金の納付方法の選択だ。ここは会社として方針を決めなければならない。加入者の掛金を本人の口座振替とする(個人払込)か給与天引き(企業払込)とするか、あるいは両方を選択する。

手続きとして簡単なのは、口座振替(個人払込)である。会社は証明書を出すだけであとは本人が金融機関とやり取りをするだけだ。税金の還付は年末調整で行う。この際、生命保険料の控除の手続きと同様、加入者に国民年金基金から「小規模企業共済等掛金控除証明書」が届くので、この提出をもって年末調整を行う。

このあたりの手順はそれほど戸惑うところではない。この他、年に1回、現況届といってその加入者が会社に在籍しているかどうかを証明する書類が届くが、これも手間ではないだろう。

一方給与天引き(企業払込)を選ぶときは注意が必要だ。お金の流れとしては、会社は加入者の給与から掛金を天引きする。天引きした掛金は全加入者分まとめて会社指定の口座より一括で引き落とされる。引き去りは国民年金基金連合会が行う。

口座振替と異なり特に注意をしなければならない点は二つ。まず税金の手続きは年末調整では行わずに、毎月の給与で源泉徴収するので給与計算上の変更が生じる。また加入者は掛金の金額変更が年に1回認められているだが、会社への申し出を徹底しておかないと、天引き額と国民年金基金連合会の引き去り額との差額が生じてしまう。当然退職時も給与計算の〆などに合わせしっかりスケジュール管理をしないとお金の差異が生じる。現況届はもちろん行わなければならない。

現実的には社内整備が間に合わないなどの理由で口座振替とする会社の方が多いようだ。会社にとってはどちらを選んでも罰則などないし、加入者にとってもどちらでも特にデメリットになることはない。

しかし2018年以降100人以下の企業で企業型確定拠出年金を導入していない場合、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者に対し会社が掛金を上乗せ支給してもよいと定めた「小規模事業主掛金納付制度」が本格始動する見込みだ。これは加入者にとっては、会社からお金がもらえるのでとてもありがたい制度である一方、経営者としてはその財源をどう捻出すべきか頭の痛いところになるだろう。

詳細はまだ発表されていないが、少なくとも掛金を出すかどうかの会社の取決めは労使合意を必要するので、会社としての方針は考えておくべきだろう。この拠出をする場合、iDeCoの掛金は給与天引き(企業払込)が前提となる。

iDeCoハラスメントに負けるな

実際、証明書の提出の段階で、苦労をしている人は少なくない。

ある方は、総務部門がアウトソーシングされていて、書類作成の依頼をしても対応が遅く本当にやってもらえているのか不安だとおっしゃったり、ある方はどの部署に書類作成を依頼して良いのか分からず直属の上司に尋ねると「投資のことを考える暇があるなら、もっとまじめに仕事に取り組め」と信じられない言葉を浴びせられたとのことだ。これはもうiDeCoハラスメントと言うべき深刻な問題であろう。

公務員はさらに複雑で、団体ごとに取扱いが異なるらしい。「らしい」としか書けないのは、国民年金基金連合会であっても実態はまだ把握しきれていないのだという。例えば県立中学校の教師は、事業所の証明は学校長にはもらえない。

県の職員としてしかるべき対応部署に証明書を依頼しなければならないのだが、この指示系統が明確になっているという団体は現時点では非常に少ないようだ。

第2号被保険者(会社員、公務員)と比べると第1号被保険者(自営業者など)と第3号被保険者(専業主婦など)の手続きは簡便だ。すべての書類は、加入者自身が記入すれば良い。しかし、今後会社勤めをする、第3号被保険者のパート勤務だったが、正社員登用となったなどという場合は、第2号被保険者として届け出が必要になることを覚えておこう。

そもそも第2号被保険者のややこしさは、掛金上限額を所属する会社の福利厚生制度で判断しているところに起因する。例えば企業年金がある会社はない会社に比べ手厚い老後資金が準備されているから自助努力枠であるiDeCoの掛金は少額で良いだろうという判断だ。

しかし企業年金があったとしても、その内容は会社によりマチマチであり、必ずしも手厚い老後の保障がある会社ばかりとも限らない。それに、企業年金がある会社に勤めているとはいえ、長く勤めなければその恩恵もわずかだ。

筆者としては、働き方、生き方が多様化している現代においては第2号被保険者のiDeCo掛金はフラットにして、あくまでも私的年金として会社への届け出を不要にすべきだと思っている。厚生年金加入かどうかは、基礎年金番号で十分把握できるので、問題はないはずなのだが、私の声だけではなかなか国会までは動かせないのが残念でならない。

山中伸枝(やまなかのぶえ)
確定拠出年金相談ねっと代表 ファイナンシャルプランナー(CFP®)
1993年、米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業後メーカーに勤務。これからは自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、FPを目指す。著書:「なんとかなる」ではどうにもならない 定年後のお金の教科書(インプレス)ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本(翔泳社)他

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