先日、学生時代の友人と久しぶりに会いました。
その友人は趣味でFX取引をしているのですが、彼によると「給料日の翌週がチャンスだ」と言います。給料日の翌週、つまり毎月第1週目の金曜日は米国の雇用統計の発表があるためです。

実際、米雇用統計の結果を受けて為替が大きく動くことは珍しくありません。それにしても、なぜ為替は米雇用統計の影響を受けやすいのでしょうか。

世界中の投資家の注目を集める「一大イベント」

米雇用統計,FX取引
(写真=Thinkstock/Getty Images)

先に述べた通り、米雇用統計は毎月第1金曜日の朝8時(日本時間22時30分、サマータイムは21時30分)に発表されます。公表される統計数字は非農業部門雇用者数や失業率、平均時給など10数項目にわたります。

統計数字の中でも、市場関係者が特に注目するのは「非農業部門雇用者数」です。これは文字通り、農業以外の分野で給料をもらっている人がどれくらいいるのかを示す数字です。

非農業部門雇用者数が多ければ、米国は景気が良いと見られる傾向にあります。逆にこの数字が低いと景気も悪いと見なされます。

通貨にはその国の経済力を示すバロメーター的な側面があります。つまり、米国の景気が良いとドルが強くなり、為替がドル高(円安)に動く一因となります。

景気が良くなると物価も上がり、インフレの可能性が高まります。そうなるとFRB(米連邦準備理事会)は「利上げ」を実施する公算が大きくなります。

FRBが利上げに動き、日本よりも米国の金利が一段と高くなると、さらにドル高(円安)に動くケースも考えられます。もちろん、「非農業部門雇用者数」の数字が悪ければ、まったく正反対に動く可能性も否定できません。

簡単にいうとこんな感じなのですが、実際のマーケットの動きは、こんなに単純ではありません。なにしろ世界中の投資家の思惑に加えて、様々な要因が複雑に絡み合っているのですから。

世界中の投資家の注目が集まる、米雇用統計の発表は「一大イベント」といっても過言ではありません。

景気と雇用、個人消費の関係に注目

米国のGDP(国内総生産)は、約7割が個人消費です。ですから個人が「安定的に」収入を得て、それが消費に回ることが大切なのです。ちなみに日本の個人消費はGDPの約6割です。米国に比べると影響は少ないといえます。

日本でも終身雇用が崩壊したといわれることがありますが、米国に比べるとまだマシなほうです。米国では景気が悪化するとためらいもなく従業員を解雇する企業が珍しくありません。解雇された人が増えるとそれだけ個人消費も減少します。

GDPの約7割を占める個人消費が落ち込むと、米国の景気も悪化します。つまり、米国の景気動向を「読む」うえで雇用情勢は重要な手掛かりとなるのです。

米雇用統計はマーケットにとって、それだけ重要な手掛かりとなります。世界中の投資家が敏感に反応するのも無理はありません。

利益がでたら祝杯をあげよう!

ちなみに、「非農業部門雇用者数」のデータは、約40万事業所の給与支払いデータを基に集計しています。この40万のデータは、経済指標の中でも異例の多さです。しかも、それが翌月の第1金曜日に発表されるのですから驚きです。

これまで述べた通り、米雇用統計で最も重要なのは「非農業部門雇用者数」なのですが、ほかにも注目すべき指標があります。たとえば失業率、平均賃金、労働時間などです。これらの指標を総合的に分析することで景気全体の動きを判断しているのです。

さて、今週金曜日には米雇用統計が発表されます。件の友人は「チャンス」をものにできるでしょうか? 私も小遣い稼ぎにちょっとだけFX取引をやってみようと思います。利益がでたら友人と祝杯をあげたいですね。

長尾義弘(ながお・よしひろ)
NEO企画代表。ファイナンシャル・プランナー、AFP。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『怖い保険と年金の話』(青春出版社)『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)、『保険はこの5つから選びなさい』(河出書房新社発行)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

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